2005年6月4日(土)「しんぶん赤旗」

関西医大訴訟

「研修医は労働者」
賃金支払い命じる

過労死の森さん 最高裁が初判断


 関西医科大学付属病院(大阪府守口市)の研修医の過労死をめぐり、研修医は労働者に当たるかどうかが争われた裁判で、最高裁第二小法廷(福田博裁判長)は三日、「病院の指揮監督下で医療行為に従事する場合は、研修医は労働基準法上の労働者に当たる」とする初判断を示しました。その上で、法で定められた最低賃金を下回る「奨学金」しか払っていなかった大学側に差額の支払いを命じた一、二審判決を支持、大学側の上告を棄却しました。


 訴訟は一九九八年に同病院に勤務していて、急性心筋梗塞(こうそく)で死亡した研修医の森大仁(ひろひと)さん=当時(26)=の遺族が、関西医大を相手に起こしました。

 同小法廷は「臨床研修には教育的側面もあるが、病院のための労務遂行という側面も併せ持つ」と指摘。「森さんは指導医の指示で医療行為に従事しており、大学の指揮監督下で労務の提供をしていた」として、労働者と認定しました。

 森さんは九八年六月から同病院耳鼻咽喉(いんこう)科で、臨床研修医として勤務していましたが、二カ月半後の八月に急死。この間、時間外労働は計三百八十八時間半にも及び、労働時間は法定の週四十時間の三倍近い百十四時間などの週もありました。同大は月額六万円の奨学金しか支払っていませんでした。

 日本共産党の小池晃参院議員は二〇〇一年六月、遺族で父親の大量(ひろのり)さん=故人=の訴えを取り上げ、研修医の処遇改善を求めて質問。坂口力厚生労働大臣(当時)は、時間外労働を当然とする病院側の風潮を指摘した上で、「研修医も生活ができるようにしなければならない」と答弁していました。

 森さんの死亡をめぐっては、急死と長時間労働との因果関係を認め、病院側に約八千四百万円の賠償を命じた判決が確定。北大阪労働基準監督署も〇二年、研修医として初めて労災を認定しました。

 研修医の労働条件の改善のために全国を回っていた大量さんは、今年一月に六十二歳で亡くなりました。

 判決を受け、大仁さんの弟の健二さん(29)は「最高裁が兄を労働者と認めていただき、おやじも喜んでいるでしょう。家族としては、兄にも父にも生きていてほしかった。兄が亡くならなければ、おやじもこんなに早く亡くなることはなかった」と話しました。


ひきつづき待遇改善に全力

 日本共産党の小池晃参院議員の話 最低賃金にはるかに及ばない月六万円の「奨学金」で、週百十四時間もの過酷な労働を強いられ、森大仁さんは医師への夢の途中で無念の過労死をとげました。私の質問に対し、坂口厚労大臣(当時)は「森さんの死を無にしない」「研修医も生活できる体制にしなければならない」(二〇〇一年六月二十八日、参議院厚生労働委員会)と答弁し、研修医の待遇改善の第一歩を踏み出しました。

 研修医をはじめとする医療従事者が、過労死を強いられるような状態で働いていることは、現実の医療の安全性だけでなく、日本医療の未来にもかかわる重大問題です。森さんの無念の思いに応え、引き続きすべての医療労働者の労働条件改善のために全力をつくします。


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