2005年5月31日(火)「しんぶん赤旗」

衆院郵政特 塩川議員が矛盾指摘

「民間にできる」破たん明白


 「郵政民営化問題の徹底審議を通じて、法案の問題点を明らかにしていくことが本委員会に求められており、国民にたいする責務だ」――三十日の衆院郵政特別委員会。日本共産党の塩川鉄也議員はこう切り出し、政府の郵政民営化法案のかかえる矛盾を突きました。

 塩川氏がまずとりあげたのは、郵政民営化にあたっての「民間にできることは民間に」という小泉内閣の大方針の破たんです。

 政府が昨年九月に閣議決定した民営化の基本方針と、今回提出した法案の間には大きく制度のあり方が変更されている部分があります。

3つの点で違い

 塩川氏は、(1)郵便局の設置について(2)郵便局会社と郵貯銀行・保険会社の代理店契約(3)「社会・地域貢献基金」の設置について――の三つの点での、基本方針と法案との違いをあげました。(表)

 郵便局の設置を努力義務規定にとどめた基本方針が、法案では「あまねく全国において…」と義務規定にかえたのは、「郵便局がなくなるのではないか」という国民の不安にあわてて加えたもの。代理店契約の義務付け、「基金」の設置を打ちだしたことは、採算のとれないところからの撤退という事態がおこりかねないからです。塩川氏は「『民間』まかせではうまくいかないことの証拠だ」とただしました。

 竹中平蔵郵政民営化担当相は、「経営の自由度はいれながら、(郵政事業の)果たさなければいけない社会的役割を果たしてもらう仕組みをつくった」と答えました。

 塩川氏は「『民間にできることは民間に』といいながら、結局民営化では、郵便局のネットワークや金融のユニバーサルサービスを維持できない、国民の利便性を後退させかねないことを法案は示している」と批判しました。

設置基準を改変

 竹中担当相が答弁した「社会的役割を果たしてもらう仕組み」は本当につくったのかという問題です。その一つとして、郵便局の設置を義務付けたといいますが、具体的な基準が大改変されていました。

 塩川氏が、現在の基準が現にある郵便局ネットワークを維持することとしていると指摘。「この規定はどうなるのか」と質問しました。竹中担当相は、「過疎地については現に存する郵便局ネットワークを維持する」と答え、現在の二万四千七百の郵便局全体を維持する考えがないことを示しました。

 塩川氏は「それでは明確な数字の基準は、過疎地の郵便局と市町村に一つということしかなくなり郵便局ネットワークに大穴があく」と批判しました。

 小泉首相は本会議で「都市部についても、国民の利便性には支障の生じないように配慮する」と答弁しています。塩川氏はこの点を指摘し、「都市部とはどこか」と質問しました。竹中担当相は「法律上定義は困難」とのべ、「都市部での配慮」ということに何ら法的な担保がないことが明確になりました。

 この結果、郵便局はどうなるのか。

 竹中担当相は、「省令はこれから定める」と繰り返しながら、「効率化しなければならないものは効率化しなければならない」とのべ、郵便局の大幅整理の可能性を否定しませんでした。


 「社会・地域貢献基金」 過疎地の郵便サービスを維持するために創設するもの。積立金は一兆円規模とされ、運用益を郵便局会社、郵便事業会社に交付する仕組みです。

 「代理店契約」 民営化後は、郵便局が郵便貯金業務を行うためには銀行代理店となることが必要です。法案では郵貯銀行などと郵便局会社との間で代理店契約を結ぶことが義務付けられました。


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