2005年5月21日(土)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

介護保険改悪法案 居住・食費の全額徴収

小池議員が質問

年金超す負担生活できない


 年金と介護保険のダブル給付は許さないという理由で施設入所のお年寄りから居住費(ホテルコスト負担)、食費の全額を徴収する改悪がもりこまれた介護保険改悪法案。十九日の参院厚生労働委員会で日本共産党の小池晃議員は、跳ね上がった利用者負担が年金を超えるケースさえでることを明らかにしました。負担増の歴史でも例がありません。

 (山岸嘉昭)


 「入居に支障がないようにしている」という厚生労働省の中村秀一老健局長。小池氏は「実態を考えてほしい」として、東京の特別養護老人ホームに入居中の男性(要介護4)の例を示しました。年金が月額七万円余の暮らしです。

 現行の入所負担は、利用料(定率負担)月二万五千円、食費(一部負担)一万五千円で合計四万円になります。ほかに日用品、テレビ、理容代、国保料などの負担がありますが、それを支払ってもまだ手元に二万円程度の年金が残ります。

 改悪でどうなるのか。この男性の入室している部屋が新しい区分の「準個室」となり、居住費として月四万円の負担がのしかかってくるのです。食費の二万円、利用料の二万五千円と合わせた負担額は八万五千円。年金七万円を超えてしまいます。

国の負担少ない

グラフ

 小池議員 大問題じゃないですか。

 中村老健局長 さまざまな意味で影響を受けられる方がおられると思います。非常に負担が重くなると思われるので、社会福祉法人の減免制度が非常に必要になる。

 特養ホームを経営している社会福祉法人の減免制度といっても、実施するかどうかを決めるのは法人自身です。小池氏は二〇〇二年度の実施施設は六割で、減免分への財政援助でも「あまりにも国の公費負担が少なすぎる」と指摘しました。

 小池氏はさらに同じ介護保険施設で、老人保健施設や療養型医療施設でも年金を超える利用者負担となる例を提示(図参照)。ここで社会福祉法人による減免制度が役にたつのかと追及しました。

 「医療法人にはこういう減免制度は設けておりません」と答える中村局長。年金のほとんどを取っていくホテルコスト負担、それを野放しにする厚労省の姿勢がくっきり浮かびあがりました。

 改悪案は、デイサービスなどの通所系サービスを利用している在宅の高齢者にも食費を全額自己負担とします。いま保険からでているのは調理コスト分で一回約四百円。これが自己負担となり、月に十日利用すれば四千円(施設によって多少違ってくる)の負担増となります。

必要なのに抑制

 「必要な利用も抑制される」とただす小池氏。福岡のあるデイケア施設の例を示しました。

 毎日施設に通いたい人が34・1%、週五回以上を希望する人が40・2%いる施設です。具体例として、要介護3の女性の場合を紹介。毎日通いたいが月三万円の負担しか払えないので二十三日間利用しているケースです。改悪案によって食費負担が八千円程度増えることになり、利用を四日間ほど控えなければなりません。

 小池氏は、「デイサービスを何度も利用している人は非常に重い負担になる」とただしました。これに血相を変えて答弁に立ったのが中村老健局長。「デイサービスの平均的な月の利用回数は月八回だ。二十三日とか毎日というのは、むしろケアプランに問題がある」

 使いすぎだ、それをケアプランとして認めたのも問題だ、と目くじらを立ててきました。

 小池 実態を見ないで、なぜそういえるのか。なにも知らず、プランが不適切だと。そういう回数が必要な人がいてもおかしくないじゃないですか。撤回しなさい。

 中村 おっしゃるとおり見ておりません。訂正させていただきます。

 給付削減しか頭にない厚生官僚がぐうの音も出ない小池氏の反論。自民党議員から“剛腕”といわれる局長がその場で問題発言と認めざるをえませんでした。

 小池氏は、「平均だけで見たら、切り捨てられる人が出てくる。それが、医療や介護、社会保障制度で大変な思いをしている人たちの犠牲を生んでいる」と批判しました。


カット

 準個室 特別養護老人ホームで現在、個室料をとっていない従来型個室や、大部屋を仕切ったものなど。現行制度では、利用料の一割負担とは別途の居住費徴収は、全室個室の新型(ユニット型)特養ホームに限られています。


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