2005年5月16日(月)「しんぶん赤旗」

コーラン冒とくに怒り広がる

米兵の処罰を要求 アフガン大統領

イスラムへの侮辱 マレーシア首相


 アフガニスタンで拘束された多くの「テロ容疑者」が収容されているグアンタナモ米軍基地(キューバ)で、米兵尋問官が「コーランをトイレに流した」と報じられたことに対し、イスラム諸国で怒りが広がっています。ロイター通信によると、アフガニスタンのカルザイ大統領は十四日、首都での記者会見で米兵の処罰を要求。マレーシアのアブドラ首相も同日、「イスラムへの侮辱だ」と非難しました。

 カルザイ大統領は「もし事実なら、われわれは米国政府に容疑者を起訴し処罰するよう強く求める」と言明。グアンタナモ基地に収容されているアフガニスタン人収容者を全員、引き渡すよう求めました。

 同国北東部のバダフシャン州の聖職者約三百人は十五日、声明で、米政府がこの事件の犯人を三日以内に引き渡さないなら、「米国への聖戦」を行うと警告しました。

 アフガニスタンでは、十一日の米国に対する抗議行動で軍と民衆が衝突し、十六人が死亡、百人以上が負傷しました。この抗議は、米軍が二〇〇一年に同国に侵攻して以来、最大規模でした。

 またレバノンのイスラム教スンニ派最高位指導者のムフティ・カバニ師は同日、事件に対する国際的調査を実施するよう求めました。

 一方、マレーシアのアブドラ首相も、米軍が起こした事件は多くのイスラム国家の怒りを呼び起こしているとし、「イスラム教徒が侮辱を受けるこのような事件は、われわれを悲しませる」と語りました。

 マレーシアは五十七カ国・機構が参加するイスラム諸国会議機構(OIC)の議長国です。アブドラ首相は「もし経済が脆弱(ぜいじゃく)でなく、進歩的で強健なら、誰もわれわれを傷付けることはできない」「誰にも簡単には屈服しないイスラムの進歩的共同体をつくりたい」と述べました。

 またサウジアラビアのイスラム国際組織も米国に調査と責任者への処罰を要求しています。OICの事務局長は、ライス米国務長官に書簡を送り、コーラン冒涜(ぼうとく)が数億人のイスラム教徒を怒らせ、「狂信者や過激派に暴力とテロを正当化する口実を与えた」と指摘しました。


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