2005年5月7日(土)「しんぶん赤旗」

英総選挙

ブレア政権3期目へ

大幅議席減 「イラク」響く


 【ロンドン=西尾正哉】英国の下院総選挙(定数六百四十六、完全小選挙区制)が五日投・開票され、ブレア政権与党の労働党が同党としては初めての三期連続の政権担当を確実にしました。しかし、同党の議席は前回総選挙結果よりも大幅に減少しました。

 六日午後一時(日本時間同日午後九時)現在の各党の獲得議席数は、労働党三百五十三、保守党百九十七、自由民主党六十一。英BBC放送の予測では、労働党の得票率は、36・6%で前回よりも5・9ポイント減少。その結果、三百五十六議席程度を獲得する見込みです。前回は野党との議席差は百六十一議席でしたが、今回は六十六議席程度に縮まります。

 議席を大幅に増やしたのは、イラク戦争の開戦に反対し、自らを“反戦の党”と選挙戦で押し出した自由民主党です。同党は、得票率で3・9ポイント増の22・4%を獲得する見込みです。野党第一党の保守党は0・5ポイント増の32・9%の見込みです。

 選挙運動では労働党は好調な経済を背景に勤労家族への手厚い施策を掲げ支持の確保に努めました。しかし、ブレア首相が強行したイラク戦争に対する国民からの広範かつ根強い批判で議席を大幅に減らしました。

 イラク戦争問題での批判・怒りが端的に表れたのが、反戦の言動で労働党を除名になったジョージ・ギャロウェー議員の再選です。同議員は「レスペクト連合」を結成し、イラク戦争の賛否を問う国会の投票で賛成票を投じた労働党議員をロンドン市内の選挙区で破りました。

 ブレア首相は六日未明、地元選挙区で演説、「有権者は労働党政権の継続を望んだが、議席は減少する見通しで、国民の声に耳を傾けていかなければならない」と厳しい表情を浮かべ、「イラク戦争はこの国を分裂させる問題だった」と語り、イラク戦争参加が同党苦戦の一因であることを認めました。


解説

小選挙区制で辛うじて過半数

 「イラク戦争はこの国を分裂させる問題だった」とブレア首相が認めたように、六日大勢が判明した英下院総選挙は大多数の国民が反対したイラク戦争強行で与党、労働党の増減が注目された選挙でした。与党、労働党が議席を大きく減らした最大の原因はこの問題についての国民の強い批判でした。

 結果を象徴的に示しているのが、ジョージ・ギャロウェー議員(50)の再選です。英BBC放送は、「選挙区民は、日常生活の要望ではなくイラク戦争問題でブレア首相を批判した」と、この選挙区の結果を分析しました。

 労働党は、開戦直後の二〇〇三年五月の地方選挙、〇四年六月の欧州議会選挙で大敗しました。総選挙終盤にはブレア首相が開戦の九カ月前からイラク政権打倒の計画を持っていたことが暴露され、ウソの根拠で戦争を導いたことに焦点があたり、野党の自由民主党などが攻勢をかけました。

 しかし、総選挙は比例代表制度を含む地方・欧州議会選挙とは異なり、すべて小選挙区制で行われ、国民の意思がストレートに反映しませんでした。

 労働党は、欧州内では好調とされる経済成長率や勤労家族への手厚い施策などで過半数を獲得して政権を維持することになりました。とはいえ、得票率は三割を上回る程度。

 労働党は最終盤、“保守党が政権復帰すれば、失業者が増え、医療などの公共サービスはサッチャー首相時代に逆戻りする”とあおり立てる選挙を展開しました。他党を攻撃して相対的に浮上するという小選挙区制下でのやり方でした。

 推定投票率は、前回を二ポイント上回る61%で、有権者登録をした人のうち、労働党を支持した人は22%にとどまりました。これは、第二次大戦後行われた総選挙で労働党としては一九八三年に続く低いものとなりました。

 (ロンドン=西尾正哉)


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