2005年4月29日(金)「しんぶん赤旗」

夜勤明け連続乗務

JR事故 運転士

朝の混雑時 休みなく

「トイレに行く間もない」


 JR福知山線脱線衝突事故で、二十八日死亡が確認された高見隆二郎運転士(23)は、明け番の早朝からラッシュタイムにかけ、トイレにいく間もないほどの緊張状態で約三時間の連続乗務についていたことがわかりました。事故は乗務終了十数分前に起きました。


 前日午後十時五十八分まで勤務した高見運転士は、事故当日の二十五日午前六時四十八分に大阪市の放出(はなてん)駅車庫を発車。事故を起こした快速電車(207系)にずっと乗務し、終了予定は午前九時三十七分でした。

 運転歴十数年のJR西日本の運転士は「夜勤明けで三時間乗りっぱなしの乗務はきつい。しかも、乗車前に出区点検という作業をやり、六時ごろには電車で仕事をしていたはず」と話します。

 出区点検は電車の機能確認が目的。電車を起動させるためパンタグラフをあげ、ドアの開閉チェックや蛍光灯の状態、運転席の計器類の確認をします。七両の車両をまわり、台車コック、スイッチなど床下まわりも車両の両側から調べます。

 「その点検に車両を一往復半ぐらいは回る。民間の電車会社は整備員が点検するが、うちは運転士の任務になっている」とベテラン運転士。出区点検には、三十分ぐらい時間がかかることが通例です。電車の出発する数分前に出区点検を終えて、運転席で待機します。その後の実質三時間の運転は、もっとも緊張する朝のラッシュアワーでした。

 「乗務表では放出駅、松井山手駅、宝塚駅で三回、列車の進行方向が逆向きになる。そのため七両編成の先頭車両から後部車両に運転席を変える。その準備点検も必要だ。トイレにいく時間もないほど忙しい。長時間緊張感をもちつづける乗りっぱなしの乗務」(ベテラン運転士)でした。

 前日の夜勤から早朝の乗務まで、仮眠・休養時間をふくめ七時間弱の待機時間があることを強調するJR西日本。「しかし、準備時間があって睡眠時間はもっと少ない」(同)のが実態です。

 高見運転士は、前日午後一時半から午後十一時近くまで、京橋駅詰め所から、東海道線の回送電車、学研都市線(松井山手駅―尼崎駅)、福知山(宝塚)線・東西線(大阪―新三田―尼崎)の三本(編成)の電車を運転していました。

 ベテラン運転士は「この場合、午後十一時で終わっているからまだいい方。私の路線ではもっと遅くなって睡眠三、四時間で早朝乗務する場合もある」と過酷な勤務ぶりを語りました。

 JR西日本は二十八日、高見運転士が十一日に一秒単位で遅延を報告させる対象の列車に乗務していたことを明らかにしました。


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