2005年4月24日(日)「しんぶん赤旗」

対北朝鮮 新作戦計画

韓国側が拒否

単独でも米軍投入


 韓国軍と在韓米軍で構成する米韓連合軍司令部が協議していた新作戦計画(OPLAN5029)に、北朝鮮の国内情勢が不安定化した際に軍事介入する内容が含まれていることが判明しました。韓国政府は十五日、協議を一月に中断させたことを明らかにしました。しかし米第七艦隊司令官は、北朝鮮不安定化の場合、米軍が乗り込むと言明、韓国側は懸念を強めています。

主権行使に制約

 韓国大統領府の国家安全保障会議(NSC)は十五日、報道機関向け文書で、「昨年十二月に韓米連合軍司令部がOPLAN5029の作成を推進しているとの報告を受け、同作戦の推進を中断させる必要があるとの結論に達した」と発表しました。同文書は、「(同作戦が)適切でない内容を扱っており、この計画の諸事項が韓国の主権行使に重大な制約となりうると判断した」と述べています。

 NSCは「適切でない内容」については具体的に説明していません。韓国メディアは政府関係者らの発言を引用し、「北朝鮮の内部混乱、政権崩壊、大規模な脱北者の発生」などを指すと報道しました。

米軍の指揮下に

 また「主権行使に重大な制約」について、OPLAN5029の協議中断を最初に報じたハンギョレ紙十五日付は、「北朝鮮内部の混乱状態を『戦時』と判断して韓国軍が米国の指揮に従うこと」だと指摘。これをNSCは、「朝鮮半島を戦争に陥れる恐れがあると判断した」と報じています。同紙は、米軍が韓国側の協議中断通告に不満を持っているとも伝えました。

 韓国軍は戦時になれば、米韓相互防衛条約に基づき、自動的に在韓米軍の指揮下に入ります。

 一方、協議の中断が表面化した直後の十七日、米第七艦隊のグリナート司令官はスターズ・アンド・ストライプス紙上で、「もし北朝鮮が不安定になったり体制が失敗に帰すれば、われわれが乗り込み秩序回復を支援する」と言明しました。

 中央日報二十日付の社説は、この発言を「単独でも米軍を投入するという意味にとれる」と指摘。さらにOPLAN5029をめぐる米韓間のあつれきに触れ、「司令官の発言が韓国政府への反発から出たものなら大問題だ」と批判しました。

 潘基文(パン・ギムン)外交通商相は二十日の記者会見で、「第七艦隊司令官が作戦を具体的に遂行する場合、それが政策的な問題に関するなら、韓米の政策当局間で緊密に協議した上で実行されなければならない」と述べ、米側にくぎを刺しました。

 (面川 誠)


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