2005年4月16日(土)「しんぶん赤旗」

日中関係打開の問題を中心に

志位委員長、路中国全人代副委員長と会談


 日本共産党の志位和夫委員長は十五日午後、党本部で、衆議院議長の招待で来日中の中国の路甬祥全国人民代表大会常務委員会副委員長の一行と会談しました。

〈路氏〉国民的な不満の現れだが、暴力的な行動には断固反対

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路甬祥中国全国人民代表大会常務委副委員長(左)と会談する志位和夫委員長(右)=15日、党本部

 路氏は冒頭、日本共産党と中国共産党が友好と協力の関係で結ばれていると指摘し、日本共産党が歴史認識の問題でとっている態度を評価しました。ついで現在の日中両国関係にふれ、両国は地理的に一衣帯水で、二千年の交流の歴史をもち、最大の貿易パートナーであるなど、共栄の関係にあることは変わらないが、日本政府が歴史問題に正しく対処していない点に中国国民が不満を持っているとのべました。

 そして最近の中国でのデモについて、日本政府の歴史問題への態度が中国人の気持ちを傷つけていることが原因としつつも、暴力や過激な行動には断固反対であり、国民は法の範囲内で理性的に対応すべきだと表明しました。さらに日本共産党が両国関係の発展により大きな影響力を発揮してほしいと希望しました。

〈志位氏〉関係の悪化――根底から解決する努力が必要

 志位委員長は、路副委員長一行の訪問を歓迎し、侵略戦争に反対するなど、反戦平和で共同のたたかいの歴史をもつ両党が、この間関係を発展させていることを喜んでいるとのべました。

 同時に、「この間、両国民間の関係が悪化していることを憂慮している」とのべ、「その原因はさまざまだが、根源は、日本の一部に過去の侵略戦争と植民地支配を肯定、美化する動きがあることだ」と指摘しました。

 そして「第二次大戦後の世界秩序は、日本、ドイツ、イタリアの侵略戦争への断罪を土台としてつくられたのだから、この土台を否定するならば、日本はアジア、世界で生きる足場を失う。そういう重大な性格をもつ問題として、小泉首相の靖国神社参拝、歴史教科書問題をきびしく批判してきた。ドイツが侵略戦争を反省して、近隣諸国の信頼を得たように、日中関係も、日本が侵略戦争を反省し、中国と歴史事実を共有し、真に未来にむけた友人としての関係に発展させることが求められていると思う」と強調しました。

〈志位氏〉中国側に三点の問題を提起

 志位氏はその上で、「中国のみなさんがふまえてほしい」点として以下の三点をあげました。

 一つは、過去に日本がおこなった侵略戦争と、現在中国で日本の民間がおこなっている経済活動などを区別することです。戦前・戦中の日本商品は、中国にとっては明らかに経済侵略の一つの象徴で、排斥運動もおきましたが、いまの日本の経済活動は両国の合意のもとにおこなわれており、日中間の経済交流を両国国民の利益にかなったやり方で発展させることがもとめられています。

 二つ目は、歴史逆行の動きをみせている日本の一部政治家と、日本国民全体とを区別することです。日本国民の多数は、間違った戦争を二度と繰り返したくないという平和の思いをもっており、平和を願う両国民の連帯が大切です。

 三つ目は、日本の一部の動きへの抗議や批判を暴力で表すのではなく、どんな問題でも、道理ある、冷静な態度を守ることです。

 そして志位氏は、中国在留の日本人、企業、大使館の安全確保について、多くの日本国民が心配しており、万全の対策をとるよう政府に伝えてほしいと要望しました。 

〈路氏〉三点は十分に理解できる

在留外国人の安全は責任を持って守る

 路氏は、このような時期でも日本共産党は確固とした立場をつらぬいている勇気ある政党だと発言。そして志位氏の指摘した三点は、「十分に理解できるものであり、中国政府も人民もそうするだろう」と答えました。

 さらに中国は歴史上、日本の少数の軍国主義者と人民を区別してきたし、誤った歴史観に立つ一部政治家と人民を区別していると強調しました。また過去の歴史と現在の経済、友好関係を区別し、日本を含む在留外国人、外資企業の安全は責任を持って守ると表明しました。

 志位氏は、「基本点で一致したことはうれしい」としつつ、「互いにそれぞれの立場で日中友好に力をつくしましょう」とのべました。


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