2005年4月15日(金)「しんぶん赤旗」

BSE 97年に発生?

政府確認の6年前

米国検査 新たな疑問


 【ワシントン=浜谷浩司】米政府がBSE(牛海綿状脳症)の発生を隠しているのではないかとの指摘が出ている中、CBC(カナダ放送協会)は十二日、早くも一九九七年に米国でBSEが発生していた可能性があると、独自の調査をもとに報じました。

政府規則守らず

 米政府が認めているBSE発生は二〇〇三年十二月にワシントン州で発見された牛で、報道はこれを大きくさかのぼります。

 米国でのBSE対策は、検査体制をはじめとする貧弱さに加えて、政府が決めた規則さえ十分に守られていないことが問題となっています。CBC報道はこうした疑問をさらに強めています。

 CBCによると、現在は閉鎖されているニューヨーク州のと畜場で、一九九七年五月に歩行困難などの症状を示す牛が発見されました。このと畜場ではさらに、その三カ月後にも異常を示す牛が発見されています。

脳部分は「紛失」

 CBCは両方の牛を撮影した米農務省のビデオを入手し、初めて公開しました。一頭目の牛は小刻みに震え、二頭目は立ち上がれない様子が分かります。

 これらの牛を調べた農務省食肉検査官(当時)マスオ・ドイ氏は、「BSEだ」との疑いを持ったとし、農務省がこれらの牛について正当なBSE検査を実施しなかったことを告発しています。

 これらの牛は最終的に陰性と結論づけられましたが、CBCによると、正確な検査に不可欠な脳部分は「紛失」されており、検査に使われたサンプルに含まれなかったといいます。

 CBCは、米国とカナダとで安全基準や検査体制に違いがない中で、BSE感染牛がカナダで過去二年間に四頭見つかった一方、頭数規模のはるかに大きい米国ではみつかっていないことにふれ、「米業界がどうやってBSE問題を回避してきたかに、新たな疑問を投げかけている」と指摘しています。

 米農務省は十三日、この報道を否定したものの、元食肉検査官による身内からの告発が続いていることに応えるものとなっていません。

 十二日には元食肉検査官のレスター・フリードランダー氏がカナダ議会で、米国でBSEが政府発表よりもっと多く発生していることを「99・9%確信している」と証言しました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp