2005年4月14日(木)「しんぶん赤旗」
厚労省「働く女性」調査
育児と労働 険しい現実
欧米は6割就業、日本36%
厚生労働省は先に、働く女性に関する動きをまとめた二〇〇四年版「働く女性の実情」を発表しました。同書では、国際比較のなかで、日本の働く女性の出産・子育て期の就業率の低さと再就職の困難という実態が浮き彫りになっています。
「女性の実情」は、同省が毎年、働く女性に関する動きを調査しまとめて発表しています。〇四年版は、第一部が働く女性の状況、第二部が「女性の就業希望実現にむけて」、第三部で対策の概況となっています。
欧米では改善
今年の特徴は、国際比較もして、日本の女性が今も直面している子育てと働くことの両立困難などの深刻な実態が盛り込まれていることです。
出産・子育て期に女性が離職する傾向は、欧米諸国では改善されつつあります。六歳未満の子をもつ母親の就業率でみると、スウェーデン78%、アメリカ62%、オランダ61%、フランス56%という水準に対し、日本は35・6%という低さです。
労働時間が短いうえ、フルタイムの多いフランス、保育・育児休暇が充実するスウェーデンとそれぞれの特徴を紹介し、共通して女性の就業率上昇が、女性の登用など平等待遇と同時に進行したと分析しています。
一方、日本では就業率が低いうえ、再就職できても七割はパートなどに。多くは、正社員をあきらめ、賃金や労働条件で大きな不満をもつ現状が示されています。同時に、育児で離職した女性の六割以上が就業希望をもっていることも紹介されています。解決すべき課題が社会的条件にあることは明らかです。
意識調査からも、働く女性が、両立支援とともに差別のない職場、やりがいのある仕事を切実に求めていることが見えてきます。
働き続けるため必要と考えることは、「子育てしながら働き続けられる制度、環境」(52%)、「やりがいが感じられる仕事内容」(51%)などが上位です。
差別是正せず
「働く女性の状況」では、女性が産業の担い手として大きな役割を果たしていることが示される一方、女性差別の是正はすすんでいないという実態がみえてきます。
〇四年は、三年ぶりに女性労働力人口が増加。企業などに雇用される女性は二千二百万人を初めて突破しました。この結果、雇用された女性比率は一九六五年以来、最高の41・1%です。
しかしパートを除く女性の賃金は、所定内給与で前年比0・6%の微増で、男性比では67・6%で0・8%の格差縮小にとどまりました。しかも大企業ほど格差が大きい傾向があります。
パートタイム労働者は若干減少したものの、五百人規模以上の企業では増加しています。
働く女性全体では、パート比率も依然として約四割と高い水準にあります。しかも若年層で増加し、「正社員で働いたことのない女性労働者が若い世代に登場しつつある」という深刻な実態が明らかになりました。
平等、開発、平和を掲げた七五年の国際婦人年から三十年、世界はこの間、平等の実現にむけて大きな努力をしてきました。ほとんどの国で女性の労働力率が上昇を続けていることが裏付けています。これに対し、日本は「近年は停滞し下降傾向」(「女性の実情」)にあります。
男女平等を実現し、女性が社会的に進出するための条件づくりで、日本の遅れの異常さは国際的にも際立っています。それが「女性の実情」からも読み取れます。
(党女性委員会事務局 米沢玲子)
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労働力人口 総人口のうち、満十五歳以上の人口から通学者、家事に従事する人、病気などで働けない人を差し引いた人口。
労働力率 労働力人口を十五歳以上の人口で割ったもの。