2005年4月12日(火)「しんぶん赤旗」

国際結婚で外国人女性が急増

韓国

家族関係・暴力…悩み深刻

政府が本格的支援へ


 韓国女性省が三月から、韓国人男性と結婚した外国人女性が韓国社会で安定して生活できるよう支援に乗り出しています。国際結婚で韓国で暮らす外国人が急増する一方で、少なくない外国人女性が韓国社会になじめず深刻な悩みを抱えていることから、政府として本格的な対策を立てることにしました。

 二〇〇三年の韓国人の国際結婚は二万五千六百五十八件。〇二年の一万五千九百十三件から61・2%も増加しました。男性の相手は、中国人、ベトナム人、日本人の順に多く、女性の相手は日本人、米国人、カナダ人の順です。

 法務省の発表によると、韓国人と結婚し韓国内に住んでいる外国人は、二月末現在で六万二百十四人。このうち女性が五万四千五百三十三人で90%以上を占めます。

男尊女卑の風習

 韓国に住む外国人女性にとって苦痛の一つは、親類も含め序列がはっきりし男尊女卑の風習が残る家族関係。家庭を切り盛りし子どもを生んで育てる存在として扱われる例が少なくありません。言語の習得、不慣れな地での妊娠と出産も大きな不安です。

 NGO(非政府組織)の韓国移住女性人権センターによると、外国人女性が第三世界諸国の出身者の場合や、業者のあっせんや宗教団体の集団結婚による場合に深刻な困難を抱えるといいます。韓国人男性側が経済的に豊かでない場合が多い上に、女性は韓国の文化を全く知らないからです。

 同センターは「生活習慣や文化の違いは誰でも経験するが、夫が妻の苦しみに無理解な場合が多い。行き場のない妻は、無条件に韓国文化に順応し夫に従わなければならない立場に置かれる。こうした女性は、日常的に家庭内暴力を被ることも多い」と指摘します。

多様な対策必要

 女性省が進める支援の内容は、家族関係や社会文化を題材にした教材を使った韓国語・文化教育、社会生活や家族生活の悩みについての相談室の開設、出産前後の家事へのボランティア支援などです。事業予算は今後五年間で十億ウォン(一億円)。女性省は、今年の実績をもとに来年以降、事業を拡大する考えです。

 支援事業は韓国移住女性人権センターが女性省の委託を受け、全国六カ所で女性人権団体と協力して支援を進めます。同センターは〇一年から外国人女性の支援活動を続けており、豊富な経験を生かして四月中旬から全国で支援事業を本格化させる予定です。

 現行法では外国籍の場合、社会保障の対象からは除外されるなど、課題が多いのが現状です。韓国移住女性人権センターは「韓国に住む外国人女性が抱える問題を解決するためには、法的な制度、福祉、人権という多様な角度から対策を立てなければならない」と強調しています。(面川誠)


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