2005年4月12日(火)「しんぶん赤旗」

介護改悪法案の審議

見直しの根拠 総崩れ


 衆院で一日から委員会審議に入った介護保険改悪法案。政府答弁は、審議早々からほころびを見せ、見直しの根拠が次々と崩れています。

■家事サービス

大部分は「適切」

 法案は(1)提供する在宅介護サービスを予防重視型にする(2)施設の居住費と食費を保険からはずし全額自費負担にする―の二点が最大の見直しです。

 「予防重視」策として盛り込まれたのは、介護の必要度が軽い高齢者(新しい区分の要支援1、同2)への「家事代行型」サービスは「原則おこなわない」とする廃止方針です。

 これにたいし尾辻秀久厚労相は「(不適切な家事サービスが)大部分だとは考えておりません」「不適切なものは一部」(六日、厚生労働委)と答弁。生活機能を低下させる家事サービス(調理、洗濯、買い物、掃除など)は「不適切」という理由で廃止を打ち出したものの、それは「一部」と認めました。

 大部分は「適切」でうまくいっているなら、なぜ廃止方針をだし、百五十万人を超える軽度者を対象に家事サービスの削減を検討する必要があるのか。根本的な疑問にたいし、厚労省は「軽度者が非常に急増しておる」と人数が増えたというだけで、まったく答えられない状態です。

■軽度者への介護効果

8割が「維持」「改善」

 そもそも軽度者への介護サービスが効果をあげていないという厚労省の言い分も、説明がつかなくなっています。軽度者(現行要介護1)の八割はサービス利用によって状態を「維持」「改善」させているという厚労省調査(介護給付費実態調査)を示した日本共産党の山口富男議員の追及(一日)が突破口となりました。

 同じ調査をもとに質問した民主党議員にたいし、尾辻厚労相は「期待されている(軽度者の改善の)数字からすると現状の数字は低い」(六日)と弁解しました。これまでは、重度者の改善状態との比較で軽度者は介護サービスの効果がでていないという説明でした。

 これを放棄して、“期待に反した数字”という新たな口実ですが、サービス利用者の八割に効果が上がっているのですから、理由にはなりません。しかも期待された数字はどの程度かと聞かれると、「すっと、このぐらいですとは申し上げられません」(尾辻厚労相、六日)と支離滅裂です。

■新サービスの“筋トレ”

マシン活用打ち消す

 「予防重視システム」の目玉とされてきたのが“筋トレ”です。厚労省は、これで介護保険が良くなると宣伝し、地方でモデル事業までやらせています。ところが自民党議員からも「モデル事業に参加する方たちは、ある程度意欲を持った方たちでしょうから、その結果が一般にそのままあてはまるか疑問」(六日)との声がでています。

 “筋トレ”の評判が悪すぎるため、「(筋肉トレーニングの)機械を使ってくださいということを言ってもいない」(八日、尾辻厚労相)とまで言い出しました。西博義副大臣(公明党)は「(マシンの)費用を個別に介護報酬で評価するとは想定はしていない」(八日)と答弁。介護保険の給付の対象としないとまで言いきりました。

 従来の説明と百八十度違います。

 介護予防の効果を検証するための市町村モデル事業では、マシンを使った筋トレも実施させています。市町村を対象にした介護保険サミット(〇四年十月)で厚労省は導入される介護予防プログラムの具体例として「ウエイト・トレーニングマシンを用いた高負荷筋力増強トレーニングを主体としたプログラム」を第一にかかげました。

 それをモデル事業の検証データも公表しないまま、一方的に打ち消す、いいかげんな答弁。結局、見直し理由で残ったのは、施設利用負担の増額(居住費、食費の全額自己負担化)と、給付削減のための在宅サービス利用量の抑制方針です。


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