2005年4月5日(火)「しんぶん赤旗」

業者との飲食

社保庁・厚労省で3割

参院委 吉川議員、禁止求める


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質問する吉川春子議員=4日、参院行政監視委

 国家公務員と利害関係者との飲食(一万円以上、二〇〇二年度)のうち、厚労省、社会保険庁の職員によるものが全体の三分の一にのぼることが四日、分かりました。日本共産党の吉川春子議員が参院行政監視委員会で明らかにしたものです。

 飲食件数は吉川氏の求めで総務省が提出したもの。それによれば厚労省が五百三十七件、社会保険庁が二千五百九十三件の計三千百三十件と突出しています。(別表参照)

 吉川氏はこの背景として、厚労省と社保庁職員が書籍などの「監修料」として五年間で十億円の現金を天下り先法人などの業者から受け取っていた問題を指摘。厚労省の補助金が出ている国民健康保険中央会から六千万円が監修料として同省に還流している構図をあげました。

 尾辻秀久厚労相は監修料贈与に関係した公益法人への厚労省の天下り(企画官以上)について、日本国民年金協会六人など六団体計二十四人にのぼると答弁しました。

 吉川氏は、食事付き懇親と補助金、天下り、監修料には相関関係があるとして、利害関係者との飲食禁止を要求。人事院の花尻尚・国家公務員倫理審査会長は「現場のニーズをつかむため関係者と接触する必要がある」として割り勘での飲食を否定しませんでした。

 吉川氏は「まじめに仕事に取り組んでいる圧倒的多数の公務員のためにも規程を厳しくすべきだ」と主張し、不正をなくす決意をただしました。尾辻厚労相は「二度とこうした不祥事を起こさないため努力している」と答弁しました。

国家公務員の利害関係者との飲食許可の件数

 (1万円以上、2002年度)

 府省等 件数
 会計検査院 32
 人事院 13
 内閣官房 0
 内閣法制局 2
 内閣府 23
 宮内庁 2
 国家公安委員会 625
 警察庁 1435
 防衛施設庁 1
 金融庁 5
 総務省 111
 公正取引委員会 15
 公害等調整委員会 0
 郵政事業庁 36
 消防庁 0
 法務省 648
 公安審査委員会 0
 公安調査庁 0
 外務省 47
 財務省 9
 国税庁 860
 文部科学省 47
 文化庁 0
 厚生労働省 537
 中央労働委員会 0
 社会保険庁 2593
 農林水産省 787
 食糧庁 497
 林野庁 57
 水産庁 135
 経済産業省 244
 資源エネルギー庁 129
 特許庁 17
 中小企業庁 5
 国土交通省 800
 船員労働委員会 0
 気象庁 0
 海上保安庁 8
 海難審判庁 0
 環境省 15
 合計 9735

国家公務員倫理規程

 公務に対する国民の信頼確保を目的とする国家公務員倫理法に基づき、職務にかかわる倫理保持を図るのに必要な事項を政令で定めたもの。疑惑や不信を招く行為を防止するため、職務に利害関係を持つ者からの贈与禁止など公務員が順守すべき事項が含まれます。

 社会保険庁職員の監修料をめぐる不祥事を受け、国の経費や補助金で作成したり、大量に買い上げる書籍などの監修料を禁止する倫理規程の改定が行われました。


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