2005年4月1日(金)「しんぶん赤旗」
クラボウが表明 人権裁判和解
「憲法・労基法に従う」
共産党員差別やめる
繊維大手のクラボウ(本社・大阪市中央区)に働く労働者二人が日本共産党員であることを理由にした差別は許されないと、たたかってきた「クラボウ人権裁判」で、三十一日、同社が「遺憾の意」を表明し、「今後、憲法、労働基準法に従って従業員を公平・公正に取り扱う」との内容で和解が成立しました。
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思想差別をうけてきたのは伊藤建夫さん(61)と宮崎周吉さん(56)。和解条項では、同社が二人に対し「原判決が同社の思想信条による差別的処遇を認めたことをうけて遺憾の意を表する」と明記し、解決金として、伊藤さんに四千六百万円、宮崎さんに三千五百万円を支払います。条項にはありませんが、宮崎さんを四月一日付で管理職にします。
伊藤さんは一九六七年研究職として、宮崎さんは一九七一年技術職として入社。上司が伊藤さんに「共産党をやめれば研究の仕事を与える」と執拗(しつよう)に迫り、応じないとみると、ごみ捨てや草ぬき、みぞ掃除などの雑用を強要したり、トイレの二階に床を張りビニールで囲っただけの小屋に隔離。宮崎さんを二十数年にわたり、社外に配転してきました。
二人は二〇〇〇年四月大阪地裁に提訴。二〇〇三年五月、勝訴しますが、二人ともヒラ社員のまま、他の労働者と隔離された職場で仕事をさせられてきました。
同事件では、大阪労働局が二人の告訴をうけて同社と役員宅を労基法違反で強制捜査し、二月に書類送検しています。
〇三年五月に定年退職し、現在シニア社員として同社に勤務する伊藤さんは「五月で退職しますが、自由にものがいえ、労働者の権利を守るためにこれからもたたかっていきたい。会社は今後、私たちのような処遇者が二度と出ないよう、和解内容をしっかり実行してほしい」と話します。
関連会社に出向している宮崎さんは「クラボウの人たちと繊維製品品質管理士の資格を生かして丸編ニットの仕事をがんばってやりたい。共産党員として活動してきたことを誇りに思っている。これからも職場の要求やみなさんの悩みを聞けるような活動をしていきたい」と語りました。