2005年3月26日(土)「しんぶん赤旗」

南米とアラブ諸国

首脳会議開催へ

イスラムとカトリックの対話


 【メキシコ市=松島良尚】ブラジル国営通信によると、モロッコのマラケシュで二十五日、アラブ連盟加盟の二十一カ国・一機構と南米全十二カ国の外相会議が開幕します。五月にブラジルの首都ブラジリアで開催予定の初の両地域首脳会議の準備が目的です。


 この首脳会議はブラジルのルラ大統領が提案していたもの。世界の経済・貿易体制の民主的な変革をめざし、発展途上国間の「南南協力」を推進しようという主張に基づいています。

 南米諸国の圧倒的多数の国民の宗派はカトリックです。両地域の首脳会議を「イスラムとカトリックの対話」とする見方もあります。

 首脳会議は、経済協力や貿易、投資の拡大にとどまらず、両地域間の対話の場を構築し、国連や世界貿易機関(WTO)など国際的な場で協力を強めていくことも目的とします。並行して、企業団体間の会議も開催。ブラジルのアモリン外相は、「対話と協力」がキーワードだと指摘しています。

 ブラジルの人口約一億八千万人のうち一千万人はアラブ人の子孫といわれます。しかし、そのブラジルを含め、南米諸国とアラブ諸国の関係は、「互いに背を向けてきた」といわれるほど、あらゆる分野で希薄でした。

 これを打開しようとしてルラ大統領やベネズエラのチャベス大統領はこの間、中東諸国を歴訪。ブラジルの企業団体はすでにアラブ諸国の企業との交渉を進めています。昨年の貿易実績は前年比五割増になりました。

 ルラ大統領はかねてから、世界の重要案件が先進国主導で決定されることに異議を唱えてきました。その反映として、インド、南アフリカとのG3の結成、WTO第五回閣僚会議での食料輸出途上国グループ(G20)の結成、南米諸国共同体の設立といった動きが相次いで起こっています。


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