2005年3月25日(金)「しんぶん赤旗」

原爆症新基準を提案

入市・遠距離被爆も認定して

日本被団協


 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳事務局長らは二十三日夕、東京都内で記者会見し、「原爆症認定制度の運用改善に関する要求」を発表。現行の原爆症認定制度を抜本的に改める、新しい認定基準の制定を求めています。

 現在の認定制度は、二〇〇一年五月に国が作成した原爆症認定に関する「審査の方針」によって運用されています。この「審査の方針」では、原爆投下後に広島、長崎両市に入った「入市(にゅうし)」被爆者や、遠距離被爆者の疾病については、一律に原爆放射線の影響はないと判断しており、被爆の実態とかけ離れています。被爆者援護法が定めた被爆者救済の趣旨に反するものとなっています。

 日本被団協は、「審査の方針」を廃止し、それに代わる新しい認定基準として、(1)原爆放射線による身体への影響が推定できる事実が認められること(2)原爆放射線の影響が否定できない疾病・障害に罹患(りかん=病気にかかること)し、医療を必要とする状態にあること―の二点が認められる場合は、申請した疾病を原爆症と認定するよう求めています。

 一点目は、被爆者健康手帳を所持している被爆者が、被爆後に放射線によると思われる発熱・嘔吐(おうと)・下痢などの急性症状、原因不明の全身性疲労などの症状・障害があった場合です。

 二点目は、白血病、白内障、心疾患や肝疾患、被爆の後遺とみられる運動機能障害などです。

 同時に、日本被団協は当面、現行制度について「被爆者が癌(がん)など原爆放射線の影響が否定できない疾病・障害にかかったときは原爆症と認定する」よう運用改善を求めています。

 新たな認定基準を検討するに当たっては、認定を審査する厚労省「疾病・障害認定審査会原子爆弾被爆者医療分科会」を公開し、日本被団協が推薦する委員を加えることを要求しています。


東裁判勝利に向けさまざまな行動へ

 長崎市で被爆した故東数男(あずま・かずお)さんが国に対し、肝機能障害(C型)を原爆症と認定するよう求めている東原爆裁判の控訴審判決が二十九日、東京高裁で出されます。東京地裁で敗訴した国が控訴したもの。東さんは判決を目前に一月二十九日、七十六歳で亡くなりました。

 判決日には東京おりづるネットが早朝からさまざまな行動をくり広げます。午前八時から高裁前でビラ配布・宣伝、同十時から厚労省前に座り込みます。控訴審判決の傍聴、報告集会もおこないます。

 判決日翌日の三十日から四月十二日の上告期限日までは土、日曜日を除く連日午前十一時半から、厚労省前でビラ配りや街頭宣伝をします。


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