2005年3月12日(土)「しんぶん赤旗」

共産党議員の「現行犯逮捕」

1952年の事件とは


 自民党の中西一善衆院議員の逮捕に関連して、「国会議員の現行犯逮捕は三人目。最初は日本共産党議員」などと報道され、党本部にも問い合わせがきています。この「事件」とは次のようなものです。

 一九五二年五月十七日午前、弁護士でもあった日本共産党の林百郎衆院議員(長野県選出、故人)は、「辰野事件」(注)と呼ばれる、日本共産党員をねらった謀略・弾圧事件の公判に、担当弁護士として出席するため、長野県伊那市にある地裁支部に駆けつけました。

 林氏は、前夜に国会活動を終え、夜行列車を乗り継いで到着しましたが、列車の都合で開始時間に間に合いませんでした。着いてみると、裁判所の正面玄関のガラス戸は鍵がかけられており、弁護士が建物に入ることを不当に妨害していました。

 林氏が、とにかく戸を開けるようにと呼びかけながら、裁判資料の入った風呂敷包みをもったままガラス戸をたたいたところ、たまたまガラスが割れたものです。逮捕は、それを見ていた警察官が、器物損壊の現行犯だとしておこなったものでした。

 これは、裁判所の妨害のもとでおこった不当な弾圧事件です。

 辰野事件 戦後の米軍占領下、長野県でおきた日本共産党への大規模な謀略・弾圧事件です。辰野警察署などを爆破・襲撃する計画をつくりあげ、長野県警は多数の警官を動員し、同町の公道を歩いていた二人の党員を別々に逮捕。これを皮切りに、一九五二年四月から一年余りの間に、合わせて十三人を逮捕、起訴しました。七二年十二月の東京高裁判決で全員の逆転無罪が確定しました。



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