2005年3月9日(水)「しんぶん赤旗」

人権擁護法案
修正しても欠陥変わらず


メディア関係6団体声明

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)、出版労連、新聞労連、日本ペンクラブ言論表現委員会、同人権委員会、民放労連、メディア総研のメディア関係団体は、今国会に提出されると報道されている人権擁護法案について「メディア条項以外にも根本的な欠陥がある」とする声明を共同で発表。八日、各政党に送付しました。

 同声明は、「人権の擁護を掲げる以上、最大の脅威である公権力による人権侵害が重視されなければならないはずなのに、法案が救済の対象としているのはわずかに差別と虐待だけにとどまり、公権力が市民の思想・表現の自由やプライバシーなどを侵害しても人権侵害とされず、救済の対象とされていない」と指摘。「『人権擁護』の名に値しない」と批判しています。

 また「メディア規制」部分を削除ではなく凍結とすることについては、「『問題があればいつでも凍結を解除する』という威嚇効果をもち」、「仮に凍結が解除されれば報道・表現の自由に対する重大な制約となる」としています。

 最後に声明は「現在の日本で人権がどのように侵害されているのかを丁寧に調査・検証した上で、新たな人権救済機関が必要だとすれば、どういう救済制度が用意されるべきか、広く国民的な議論に委ねて根本から検討しなおすことを強く求める」と提案しています。

アジアプレス・ネット会見

 ジャーナリストらでつくる市民団体・アジアプレス・ネットワークは八日、国会内で記者会見し、政府・与党が今国会に再提出する人権擁護法案について反対をアピールしました。

 ジャーナリストの野中章弘さん、『世界』編集長の岡本厚さん、民放労連委員長の碓氷和哉さん弁護士の日隅一雄さんら十二人が会見しました。

 アジアプレス・ネットワークの野中さんらは、「人権を救済する法律そのものは必要」としたうえで、再提出される同法案が、人権救済機関を法務省の所管とした問題、マスメディアの取材、報道に対する規制の項目を残していることをあげ、「修正しても法案の問題点や欠陥は変わらない。このまま国会へ上程されることに強く反対する」と表明しました。

 日隅さんは、日本弁護士連合会の「人権機関設置ワーキンググループ」が同法案に反対していくことを確認したことを紹介しました。

 碓氷さんは「廃案になった欠陥法案をごみ箱に捨てて、そっくりそのままごみ箱から拾ってきて、また出してきたようなもの。ごみ箱から完全に削除されるまで、反対の運動をしていきたい」と発言しました。

 会場には市民らが多数かけつけ、日本共産党の井上哲士参院議員も参加しました。


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