2005年3月5日(土)「しんぶん赤旗」

西武グループの経営

モラルを逸脱

堤清二氏が陳述書で批判


 「独裁的に管理されてきた企業」「経営者のモラルからみて重大な逸脱がある」――。西武鉄道の証券取引法違反事件で逮捕された同グループ前会長の堤義明容疑者(70)の異母兄でセゾングループ創業者の堤清二氏(77)が、同グループの経営を批判する陳述書を裁判所に提出していたことがわかりました。

 この裁判は二月十四日、義明氏の実弟で元プリンスホテル社長の猶二氏(63)がコクド株の持ち分確認を求めて起こしたもの。

 コクド株は、他人名義をふくめて堤容疑者がその多くを所有しているとされます。しかし、西武グループ経営改革委員会は“株は名義人のもの”という立場で、ことなる名義の株については堤家の所有を認めていません。清二氏は「コクドの実態を解明し、猶二君の主張の正しさを立証するため」陳述したとしています。

 これによると、清二氏は一九四三年に父親の元衆院議長、康次郎から、「世間的には西武鉄道は上場会社であり、コクドは大株主にすぎないが、コクド株は実際はわしが大部分所有しており、西武鉄道の株も過半数はわしのものだ」と説明されたと紹介。「この当時から(堤家は)現コクド株を他人の名義を使用する手法で、実質的に株を所有し、支配していた」と証言しています。

 名義株による所有の仕組みは、当時の顧問弁護士が考え出したもの。康次郎の邸内に“別室”と呼ばれる「離れ」で、西武の番頭といわれた人物が名義株の保管・管理をしていたといいます。

 今回の西武鉄道とコクドをめぐるスキャンダルについては「事件の質の悪いことに驚いた」とのべ、こう指摘します。

 「今回の西武鉄道とコクドが引き起こした事件は時代とともに変化する価値基準からみて社会に受け入れがたい事件であると同時に、経営者のモラルからみても重大な逸脱があります」

 また、「康次郎の残した事業の大きな部分がだれにも分割されないまま、公私混同の極端な事例として義明氏個人が牛耳っていたとすれば、社会正義の観点からも税の公平という点からもあいまいなまま封印していいとは考えられない」と批判。遺族が法に従って相続を受けるとともに、所有と経営を分割するという近代的経営の原則にたって今後のことを考えるべきだとのべています。


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