2005年3月1日(火)「しんぶん赤旗」
ネパール
国王の非常事態宣言1カ月
共産党など抵抗続く
【ニューデリー=小玉純一】ネパールのギャネンドラ国王がデウバ首相ら閣僚を解任し全権を掌握してから一日で一カ月になります。国王当局と国軍は、ネパール共産党(統一マルクス・レーニン主義=UML)のネパール書記長やネパール会議派のコイララ元首相らを依然として自宅軟禁し、民主主義回復を求めて活動する政党活動家を連行しています。報道統制も続けています。
UMLと会議派は二月十八日、弾圧に抗して街頭で抗議したのに続き、三月にも共同で抗議行動を予定しています。
国王の全権掌握を「民主主義の後退」と批判するインド政府は二月二十二日、非常事態宣言以降、対ネパール軍事援助を停止していることを明らかにしました。英国も同日、今後の軍事援助を停止すると発表しました。また二十六日の報道によれば世界銀行は七千万米ドルの経済援助を停止するとしています。
国王当局は、「テロリスト・毛沢東派をせん滅するため」と全権掌握を正当化。「援助の停止はテロリストを助けるもの」と非難し、援助継続を求めています。他方、批判を少しでも和らげようと、拘束した政党活動家やジャーナリストの一部を解放しました。
武装集団の毛派は、国王の動きを糾弾するとして、二月二十六日までの十四日間、首都カトマンズに通じる幹線道路を封鎖。物資輸送が滞ったため野菜の値段が高騰、市民生活を脅かしています。毛派はさらに二十五日、西部コハルプルのテレビ塔を破壊しました。
毛派は各地で国軍と戦闘し双方に多数の死者が出ています。ナラヤンガートでは十六日、国軍兵二百人が死亡したとの情報があり、軍事対決がエスカレートしています。

