2011年10月25日(火)「しんぶん赤旗」

全電源喪失 想定せず

福島第1 東電黒塗り手順書 一転公開


 衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会の理事会が24日開かれ、福島第1原発の「事故時運転操作手順書」の一部が提出されました。過酷事故(シビアアクシデント)時の手順書も提出され、東京電力が長時間の全電源喪失を想定していなかったことによって、原子炉への注水やベント(原子炉格納容器の圧力を下げるためにガスを逃す操作)をする際に手順書にそった操作を実施できなかったことが、手順書からも裏づけられました。

 同委員会の再三の要求で、経済産業省原子力安全・保安院が提出したもの。通常事故時の手順書に加えて、過酷事故時の手順書の一部について、ほとんど黒塗りせずに開示されました。

 今回提出されたのは1号機の手順書の一部ですが、残りの部分や2、3号機の分も、今後提出するとしています。また事故発生時の手順書の適用状況について東電がまとめた資料も提出されました。

 これらの資料によると、全交流電源(外部電源や非常用ディーゼル発電)喪失時の操作は通常事故時の手順書で定めており、直流電源(非常用バッテリー)のみで動く炉心冷却装置の操作手順が記載されています。しかし事故発生で、弁の開閉や制御盤の表示が確認できない状況となり、手順に沿った操作はできなかったとしています。

 過酷事故時の手順書には、ベントの際、中央操作室から弁の開閉をすることになっていましたが、それができずに現場で「手動」で弁の開操作を実施しました。原子炉への注水でも、ディーゼル駆動消火ポンプを使用する代替注水ができず、手順書になかった消防車からの注水を実施しました。

 手順書をめぐってはこれまで東電が核物質防護や知的財産を理由に開示を拒んでいたため、黒塗りの状態で理事会に提出され、国民的な批判をよんでいました。

 日本共産党の志位和夫委員長が9月27日の衆院予算委員会で追及、枝野幸男経産相が「全面的に公開」することを約束していました。





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