2011年10月23日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 「経営者の多額報酬とウォール街(大手金融)のモラルのなさには憤りを感じる」。ニューヨークの街頭で出た言葉ではなく、全米自動車労組(UAW)幹部が自動車大手フォードと労働協約を批准した際に語ったことです▼フォードとの労働協約は19日、UAW組合員による批准投票で承認が多数だったことが発表されましたが、反対も37%に及びました▼反対論のポイントは、フォードの業績改善のもとで、最高経営責任者(CEO)の2010年の報酬総額が2650万ドル(約20億円)となっている一方で、労働者の賃金が抑えられているというもの。「格差を恒久化させることは許せない」との主張です▼労働組合と使用者側が対等な立場で交渉し、賃金や労働条件などを書面で取り交わす労働協約。UAWが自動車大手と最初に締結したのは1937年。今から74年前、相手はゼネラル・モーターズ(GM)でした。2年越しの大闘争で労組を結成。労働協約の締結にこぎつけました▼その後の協約で、有給休暇や年金、医療保険を実現させました。賃上げで購買力をつけ、車や家を買い、子どもの大学進学も可能となり、「親の世代より豊かに」。アメリカンドリームと呼ばれました▼米国で今、それが揺らいでいます。実質賃金が低下。労組結成への妨害もあります。格差是正を求めるウォール街行動にはUAWの組合員も参加して、若者を励ましました。未来を決めるのは会社ではない、労働者自身であるとの誇りある行動です。





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