2011年10月22日(土)「しんぶん赤旗」

リビア全土解放宣言へ

国民評議会が方針

カダフィ氏死亡を確認


 【チュニス=伴安弘】リビアの暫定政権、国民評議会の当局者は20日、42年間リビアを支配してきた元最高指導者カダフィ大佐が暫定政権側の戦闘員によって殺害されたことを明らかにしました。反カダフィ派の連合体「国民評議会」は、カダフィ派の最後の拠点、中部シルトも制圧し、「全土解放」を22日に宣言する方針です。


 リビア全土が解放されたことで、チュニジアに始まるアラブ民衆による民主化の波は勢いを増し、反独裁のたたかいが続くシリア、イエメンの情勢に影響を及ぼす可能性もあります。

 暫定政権のジブリル首相は20日、トリポリで、「すべての悪魔とカダフィがこの国から消え去ったことを確認する」「新しいリビアの出発のときだ。わが国民は未来を開く」と強調しました。

 カダフィ大佐は負傷した状態で暫定政権側の戦闘員に拘束され、移送途中に殺害されたという報道もあります。同評議会の報道官は、検視の結果、同大佐が頭部と腹部に銃弾を受けたことが明らかになったとしています。

 首都トリポリの制圧後、暫定政権側はカダフィ軍側の投降を待ちましたが、カダフィ大佐が武力反抗を宣言したため、シルトなど数都市で激しい戦闘が続いてきました。北大西洋条約機構(NATO)軍も、カダフィ軍に対する爆撃を続けました。

 対リビア空爆の先頭に立ってきた仏英両国は、カダフィ大佐の死を歓迎。オバマ米大統領も20日の声明で祝意を表明しました。

 東部ベンガジでは数千人が街頭に出て、銃を空に向け発砲し、踊るなどして喜びました。

 2月に反政府決起が始まって以来、国内で激しい戦闘が発生し、死者は5万人ともいわれます。


 リビア イタリア(1911〜42年)、イギリス・フランス(42〜51年)による支配の後にリビア連合王国として独立、69年の軍事クーデターでカダフィ政権誕生。米旅客機爆破事件(88年)、仏旅客機爆破事件(89年)などのテロを引き起こしました。面積約176万平方キロ(日本の約4・6倍)、人口約630万人。





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