2011年10月13日(木)「しんぶん赤旗」

消費税10% 財界に誓約

財務相 “来年必ず法案提出”


 安住淳財務相は12日午前の経団連との懇談会であいさつし、「社会保障と税の一体改革」に関して、「消費税(の税率引き上げ)を正直に国民にお願いするしか道はない。来年には必ず消費税の法案を(国会に)必ず出す」と述べ、2010年代半ばまでに10%に引き上げる政府方針に沿って、実現させることを強調しました。

 財務相は、「直間比率の見直しを含めて、それぞれの税制について抜本的改革を行う」と語り、所得税なども含めた「税制抜本改革」により安定税収の確保を目指す考えも強調しました。

 環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加については、「負の面は分かりやすいが、長期的な利益はなかなか目に見えない。ただ、しっかり説明すれば、必ず日本人は結論を見いだしてくれる」と述べ、推進する意向を表明。一方、経団連側は、円高対策など2011年度第3次補正予算案の早期成立やTPP交渉参加、「税と社会保障の一体改革」推進を要望しました。


公約破り庶民増税

 野田佳彦首相は9月13日の所信表明演説で、消費税増税法案の来年の通常国会への提出を表明しました。安住淳財務相の発言は、財界幹部を前にして改めてこれを表明したものです。

 2012年の国会への増税法案の提出自体が、09年の総選挙後に「今回の選挙において負託された政権担当期間中において、税率引き上げは行わない」(社民党、国民新党との3党合意、09年9月9日)と述べていた公約に背く行為です。

 政府の社会保障・税の「一体改革」案は、自公政権時代につくられた09年度税制「改正」法付則104条に忠実に沿っています。

 社会保障財源を消費税に求める考えそのものが、企業の社会保険料負担をいっそう削減することを求める財界の意向に従ったものです。

 その一方で、野田政権は法人税をさらに減税する構えを示しています。民主党政権の財界直結ぶりは鮮明です。

 再び世界的な金融・経済危機の暗雲が漂っています。この中で、国民に増税を押し付ければ、日本の消費はさらに減少し、世界経済にとっても悪影響を与えることは必至です。 (山田英明)


消費税めぐる動き

 ●3党連立政権合意書(民主党代表・社会民主党党首・国民新党代表、2009年9月9日)

 「現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない」

 ●第178回国会における野田内閣総理大臣所信表明演説(9月13日)

 「本年6月に政府・与党の「社会保障・税一体改革成案」が熟議の末にまとめられました。これを土台とし、真摯(しんし)に与野党での協議を積み重ね、次期通常国会への関連法案の提出を目指します」

 ●「経団連成長戦略2011」(9月16日・経団連)

 「消費税の税率引き上げに向けた道筋を早期につけ、社会保障の財源確保を図る必要がある」「社会保障と税・財政の一体改革はもはや先送りできる状態になく、早急に成し遂げるべき課題である」「消費税率については、2015年度までに10%まで、段階的に引き上げることを明確化すべきである」





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