2011年10月5日(水)「しんぶん赤旗」

ウォール街発 全米へ

格差問う青年ら行動


 【ワシントン=小林俊哉】米金融界の中心地ニューヨークのウォール街で9月17日から始まった抗議活動は、3週間目に入った3日も、続きました。「人口のわずか1%の富裕層の貪欲」に抗議し、「腐敗の根絶」を求めて始まった運動ですが、ピッツバーグ、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルスなど各地に波及しています。


ニューヨークの公園泊まり込んで参加

 同活動は「ウォール街の占拠」運動と呼ばれています。各地の活動の連絡役だという団体「OCCUPY TOGETHER(一緒に占拠しよう)」によれば、カナダに本拠を置く“反消費社会運動団体”の提唱で始まったといいます。

 「党派からの中立」を建前に、反戦団体、消費者保護団体、貧困問題に取り組む団体など、さまざまな組織や市民が駆け付け、思いの丈を表明しています。「僕の父は失業中。大学の学費が支払えない」などと訴え、若者層を中心にウォール街周辺の公園などに泊まり込んでいます。水や食料などは寄付を中心に賄っています。

 1日には1500人規模のデモを行い、「交通妨害」を理由に700人が逮捕される事態となりました。逮捕者のほとんど全員が即日釈放されました。

 米資本主義の矛盾を告発する著名映画監督マイケル・ムーア氏も、この運動を激励。米メディアは、野党・共和党を支持する草の根保守運動「ティーパーティー(茶会)」の台頭と比較して、“リベラル派からの反撃”と注目しています。

 カーニー大統領報道官は3日、「オバマ大統領もこの運動を認識している」として、「現在の経済状況にどれほど国民が不満を抱いているか、われわれも理解している」と述べました。

 同運動には、特定の政治要求の実現といった個別目標はなく、現在の米経済・社会のあり方への抗議の表明という面が強く出ています。運動の参加者たちはインターネットや簡易ブログのツイッターなどを通じて情報を交換し、各地での運動の組織化に向けて助言しあっています。

 今週は、首都ワシントンでも連帯の運動が企画されています。

 主要労組は、これまでのところ、同運動への支持を表明していません。しかし米メディアは、今週末にかけて一部労組が食料の差し入れなどの面で支援を表明すると報じています。

 与党・民主党内のリベラル派運動団体「ムーブ・オン」の関係団体も5日にウォール街でデモ行進し、この運動に呼応するとしています。

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