2011年9月18日(日)「しんぶん赤旗」

地裁通知 問い合わせ先は武富士

更生案 過払い被害者におしつけ


 昨年倒産したサラ金大手・武富士の会社更生手続きをめぐって、過払い(利息の払いすぎ)被害者である債権者に対して更生計画案への同意を押し付ける同社の行為が横行し、不公正だと批判が高まっています。 (武田祐一)


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(写真)電話センターのある武富士本社ビル=東京都新宿区

 会社更生手続きでは、管財人が全国91万人の債権者に対して更生計画案の書類を送付。その賛否を問う投票を10月24日締め切りで行っています。この決議手続きを説明する東京地裁作成の「通知書」で「問い合わせ先」となっているのが武富士のコール(電話)センターです。

 「書類の書き方がわからず、電話したら計画案への同意を求められた」―。全国クレジット・サラ金被害者連絡会協議会(被連協)には、こうした苦情や相談が多数寄せられています。

 武富士の管財人による更生計画案では、債権者への返済率は、わずか3・3%にすぎません。

 過払い110万円分の返還を求めている広島県の40代女性は「倒産したら、お金は返らない。同意に丸をつけて返送してほしいといわれた」と怒ります。

 さらに、問い合わせをしていないのに武富士側から連絡してきた例もあります。

 茨城県の女性(65)は10年前、子どもの教育費のために武富士から100万円を借りました。過払いは250万円以上に上り、その返還を求めています。8月中旬に武富士側から計画案の書類が送られてきて、下旬ごろに「武富士の社員」を名乗る男性から電話がかかってきました。「『更生手続きに同意してほしい』といわれたが、家族とよく相談すると断った」といいます。女性は「最初、手続きの内容がよくわからず、それをいいことに債権の放棄につながるような同意を押し付けるなんて腹が立つ」といいます。

 被連協の本多良男事務局長は「投票の中立性を損なうので、東京地裁は武富士の電話センターを問い合わせ先からはずし、中立の第三者にすべきだ」と批判。「武富士の会社更生を許せば、過酷な取り立てをする悪質な貸金業が復活することになる。更生計画案を否決して、武富士を破産に追い込むことを過払い被害者に呼びかけたい」と訴えています。

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(写真)東京地裁が作成した武富士の更生計画案についての「通知書」。問い合わせ先は、武富士本社コールセンターになっています





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