2011年9月14日(水)「しんぶん赤旗」

国交省 八ツ場ダムが「有利」

全国連絡会「建設前提」と批判


 国土交通省関東地方整備局は13日、八ツ場ダム(群馬県長野原町)建設事業を検証する関係6都県との会合で、治水・利水などの目的別評価と総合評価の両方で「八ツ場ダム建設案が最も有利」とする検証結果の報告案を示しました。今秋にも国土交通省が最終的な結論を出す予定です。

 同局は2009年、前原誠司国土交通相(当時)による八ツ場ダム建設の中止表明を受けて検証を開始。しかし、「ムダな大型公共事業」と指摘されていた水需給計画やダムの治水効果という大本は見直さずに「代替案」を複数作成し、比較・検証してきました。案の優劣を示す評価基準では「環境への影響」や「地域社会への影響」よりも「コスト」を重視しました。その結果、「八ツ場ダム建設案」の事業費が相対的にコストがかからないと結論づけました。

 建設推進を求めてきた大沢正明群馬県知事は「早急に本体工事に着手していただきたい」などと発言。出席したほかの知事らも同調しました。

 傍聴に訪れた水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之(てるゆき)共同代表は、▽検証の前提となる水需要の過大予測が見直されていない▽八ツ場ダムによる治水効果が過大評価されている▽一般市民の声を聞く場が設けられなかった▽静岡県の富士川河口部から導水するなど検証以前に実現不可能な代替案が含まれている―など問題点を指摘。「検証は八ツ場ダムの建設が前提となっている。今後は国に対して検証方法の抜本的な見直しを求めていく」と話しました。





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