2011年9月3日(土)「しんぶん赤旗」

主張

野田政権発足

「挙党」「翼賛」で国民がない


 衆参両院で首相に指名されてから3日、野田佳彦氏の政権がようやくスタートしました。

 党・内閣人事で民主党幹事長に小沢一郎氏に近い輿石東氏、政調会長に前原誠司氏らを起用、閣僚には多くの若手を任命し、「挙党態勢」を掲げた「党内融和」と、「大連立」も念頭に置いた自公両党との「協調」「翼賛」が売り物です。国民の批判に応える姿勢はありません。主権者である国民そっちのけで、国会での数を頼りに、消費税増税や日米同盟強化など、国民に犠牲を押し付ける政治を強行する姿勢がいよいよ濃厚です。

財界詣でと自公との会談

 「(菅直人前首相とは)要するに首から上の質が違う」「大連立でも緩やかな協調でも、どんな形でもいいから挙国一致体制で臨んでもらいたい」(米倉弘昌経団連会長)―野田政権の基本的な性格は、財界の異例な評価に表れています。財界が期待しているのは、震災復興や円高対策だけでなく、「社会保障・税一体改革」での消費税の増税や「環太平洋連携協定(TPP)」の推進などです。国民の反対を踏みにじり、財界とアメリカいいなりをさらに拡大することです。

 野田氏の首相指名から新政権発足にかけ異様さを浮き彫りにしたのは、経団連などそうした財界団体詣でと、自民・公明両党との党首会談でした。党首会談では、民主党の「マニフェスト(政権公約)」見直しを約束した「3党合意」の堅持を約束し、震災復興や税制、円高対策などでの協議機関設置を話し合いました。「自民党の政治を変える」といって政権を交代した立場を投げ捨て、「大連立」を含めた「翼賛」政治に舵(かじ)を切ることを浮き彫りにしたものです。

 民主党政権発足からわずか2年で鳩山由紀夫、菅両氏の政権が行き詰まり、退陣に追い詰められたのは、沖縄の米軍普天間基地の問題でも消費税増税の問題でも、総選挙での公約を踏みにじり、国民の期待を裏切って支持を急速に失ったためです。「財界本位」と「アメリカいいなり」の政治の異常を正すどころか、自公にすりより、国民への公約をまるごと投げ捨てようとするのでは、国民の信頼を回復できるはずなどありません。

 実際、野田氏が代表選で持ち出し、財界や自公との会談でも実行を話し合った、大震災の被災者にも負担を押し付ける「復興増税」や法人税減税の実現、消費税増税、TPPの推進などはいずれも、国民が強く反対しているものです。民主党の「党内融和」や自公との「翼賛」で強行しようとしても、国民との矛盾を押し広げるだけになるのは目に見えています。

「二大政党」の破綻明らか

 民主党政権下で3人目、自民党政権末期から数えれば5年間で6人目になる短命政権の繰り返しは、自民・民主両党で政権交代する「二大政党」の破綻を浮き彫りにしています。しかも、民・自の違いさえ演出できず「翼賛」を強めなければならなくなっているのは、「二大政党」の仕掛けそのものが成り立たないことを示しています。

 国民の信なければ立たず―。国民の批判に応えようとせず、国民の願いに反する政治を拡大する限り野田政権が行き詰まるのは避けられません。悪政に反対するたたかいとともに「国民が主人公」の政治への道を示し、実現を切り開いていくことがいっそう重要です。





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