2011年9月1日(木)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が、31日、国会議員団総会で行ったあいさつは次の通りです。


大災害のもと、救援・復旧・復興に全力でとりくむ

写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=31日、衆院第1議員会館

 通常国会の閉会にあたって、ごあいさつを申しあげます。

 まず私は、220日間におよぶ長期の国会でのみなさんの奮闘に心からの敬意を表したいと思います。(拍手)

 この国会の最中、3月11日に、日本は、東日本大震災と原発事故という大災害にみまわれました。党国会議員団は、その全員が被災地に繰り返し足を運び、被災者のみなさんの切実な要望をお聞きし、被災者の立場にたって、現地の党組織、民主団体と共同し、救援、復旧、復興に全力で取り組んできました。

 私たちは、被災者救援と原発事故の収束など、緊急課題では政治的立場の違いを超えて力を合わせるとともに、復興のあり方とその財源問題、原発・エネルギー政策などについては、独自の立場から積極的提言を行ってきました。大震災にあたっての第1次、第2次の提言、「原発撤退提言」「放射能防護提言」などを提起し、国会論戦に取り組んできました。

 そのなかで、いくつかの問題で、被災者・国民の願いにそくして政治を動かす働きもしてきたと思います。たとえば、被災地できわめて切実な課題となっている「二重ローン」問題の解決の具体的提案を示し、与野党を動かしてきています。また、政府と電力会社が一体となった「やらせ」問題を明らかにし、原発の再稼働やプルサーマルの推進をストップさせてきました。これらは、被災者のみなさん、国民のみなさんのたたかいと、日本共産党の共同の成果であり、その力に大いに確信を持ちたいと思います。(拍手)

被災地での選挙――ひきつづき力をつくして前進・勝利を

 被災地の願いをまっすぐに国会に届け続けた日本共産党国会議員団の奮闘は、被災地のみなさんの奮闘、全国からの支援と一体となって、大災害に苦しむ被災者の方々の信頼、評価を高めています。

 大震災後、被災地で一連の地方選挙が行われておりますが、日本共産党は、これまでのところ全員当選を勝ち取っています。(拍手)

 とりわけ、福島市、盛岡市、仙台市という被災3県の県都の市議会議員選挙で全員当選を勝ち取り、前回比で、得票率・議席占有率とも前進させた。これは重要な成果であります。被災者の立場で奮闘するわが党への信頼、評価として大いに確信にしたいと思います。(拍手)

 そして、これから県議会選挙も開始されることになりますが、三つの被災県で行われる県議選でも、必ず前進・勝利を勝ち取るために力をあわせて頑張りぬく、この決意を固めあいたいと思います。(拍手)

野田新体制のもとで「民自公翼賛体制」ともいうべき動きが

 この国会では、最終場面で菅首相が退陣し、野田首相に交代しました。野田新体制とはどういう特徴を持った体制か。

 私は、民主党代表選で野田氏が新代表に選出されたことを受けて、「この結果は、民主党が、『自民、公明両党との大連立』という道を選んだことを意味する」とのべましたが、その後の動きをみても、この指摘は裏付けられていると思います。

 野田新代表が、当選後真っ先に行ったことは、自民・公明両党首と会談をして、「3党合意」への忠誠を誓うことでした。「3党合意」とは、子ども手当や高校授業料無償化など民主党の「看板政策」の廃止・見直しとともに、法人税減税の協議、復興債の償還財源の検討など、今後の税制改定も3党協議で進めるという内容のものですが、それを忠実に実行することを誓約することが「仕事始め」でした。

 自民党と公明党にひたすらすり寄り、連携を求め、大連立をこいねがう――そういう方向に明確に踏みだすことで民主党政権を延命させる活路を見いだす。こうした姿勢がはっきり示されていると思います。こうしていま「民自公翼賛体制」ともいうべき動きがつくられつつあります。

 実は、こうした「民自公翼賛体制」の動きというのは、菅政権の末期から開始されていました。たとえば、この間の一連の悪法――東京電力を救済し、国民に負担の付け回しをする原子力損害賠償支援機構法、大企業・大資産家への減税ばらまきと一体の特例公債法、子ども手当を廃止する特別措置法などは、どれも民自公の密室談合により、国会ではまともな審議もなく強行されたものでした。

 こういう流れが菅政権の末期からずっと出てきたわけですが、野田新体制というのは、こうした「民自公翼賛体制」を大きく加速するものとなっていると思います。この体制のもと、「社会保障と税の一体改革」の名による消費税の大増税、原発の再稼働と原発依存のエネルギー政策への固執、米軍普天間基地の辺野古「移設」をはじめとする日米同盟絶対化の政治が、まさに民自公共同で進められようとしています。

「二大政党づくり」の行き詰まりが、いよいよ深刻なものに

 野田新体制の本質をよく示しているのが、財界の反応です。日本経団連の米倉会長は、29日、野田氏が新代表に決定したことを手放しで歓迎してこうのべました。「税制、社会保障に通じた非常に安定した行動力のある政治リーダーだ」、「菅直人首相とは首から上の質が違う」。ここまでのべて、野田新代表を天まで持ちあげた。この財界の喜びよう、はしゃぎように、野田新体制の本質がよく表れていると思います。

 野田新体制とそのもとでの「民自公翼賛体制」という動きは、国民の暮らし、平和、民主主義にとって危険な道であります。「数の力」でさまざまな悪政が一気に進められる危険に強い警戒をはらうことが必要です。日本共産党は、この逆流に正面から対決してたたかいぬく決意を表明するものです。(拍手)

 同時に、この動きのもう一つの側面として指摘しておきたいことがあります。それは、この動きが、3中総決定が指摘した「二大政党づくり」の行き詰まりを、いよいよ深刻なものにしているということです。

 これまで、「自民か、民主か」という「二大政党づくり」の動きは、同じ政治の土俵の上であっても、両党が「違い」を競い合い、「対立」を演じあうことで、進められてきました。ところが、両者が「民自公翼賛体制」という形で政治的に同一化してしまったら、どうなるでしょう。それは、「二大政党」による「政権選択」という仕掛けそのものの自己否定になるではありませんか。

 いま進められている道というのは、国民にとって危険な道であり、正面からこれに立ち向かい、打ち破るための奮闘が必要ですけれども、同時にそれは、「二大政党づくり」の行き詰まりをいよいよ深刻なものとし、国民との矛盾をいっそう広げざるを得ないということをしっかり見ることが大切であります。

日本の政治の真の対決の構図を、広い国民の中で明らかにしよう

 私は、この動きのなかで、日本の政治の真の「対立軸」が、さまざまな曲折はあっても、いやが上にも浮かび上がってくると考えています。

 それは、アメリカいいなり、財界中心という古い政治を共同ですすめる「民自公翼賛体制」か、それともこの古い政治を大本から変革して、「国民が主人公」の新しい日本をめざす日本共産党か、という「対立軸」であります。

 そういう点では、ますます日本共産党のがんばりどころの政治局面がやってきたということを、強調したいのであります。

 そして、どこに日本の政治の真の対決の構図があるかという大問題を、事実と道理をもって、広い国民の中で大いに訴えていこうではないかということを、心から呼びかけたいと思います。(拍手)

国民要求実現のたたかい、「党勢拡大大運動」――二つの大仕事をともに

 最後に私は、国会議員団が、つぎの二つの大仕事を、全党のみなさんとともに取り組むことを訴えたいと思います。

 一つは、民自公が共同して進めるあらゆる悪政に反対し、国民要求を実現するたたかいを、国民とともに発展させることであります。震災復興のたたかい、「原発ゼロの日本」をめざすたたかい、TPP(環太平洋連携協定)参加阻止のたたかい、庶民増税・消費税増税反対のたたかい、「基地のない沖縄」「基地のない日本」をめざすたたかいなど、あらゆる分野で国民運動を発展させ、国民の力で、「民自公翼賛体制」を包囲する、このたたかいに大いにのぞもうではありませんか。

 いま一つは、「党勢拡大大運動」を成功させることであります。「二大政党づくり」の動きがどんなに行き詰まり、国民との矛盾を広げても、それは自動的には日本の変革につながりません。強く大きな党をつくってこそ、変革は現実のものになってきます。

 大震災と原発事故は、いま多くの人々に深い苦しみをあたえています。同時に、この危機は、国民の政治や社会への見方、価値観、生き方についてのさまざまな前向きの変化をもたらしています。そのなかで日本共産党との共鳴が広がり、新しい共同がいろいろな分野で広がっていることは、みなさんが体験しておられることだと思います。

 こうした条件を、残らずくみつくして、来年の日本共産党創立90周年をめざす「党勢拡大大運動」の成功のために、全党のみなさんと心を一つにした大奮闘を私たちも取り組むことをお互いに誓い合いまして、閉会にあたってのあいさつとします。ともに頑張りましょう。(拍手)





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