2011年8月28日(日)「しんぶん赤旗」

北海道電力やらせ

国と道 “共演”

不十分な調査 拙速な住民説明


 本紙が26日付で報じた泊原発3号機へのプルサーマル導入をめぐる道と地元自治体主催シンポジウムでの「やらせ」指示は、同日夜に北海道電力が緊急会見で事実を認めるという展開になりました。北電の「やらせ」は日常的な体質ではないのか。不正を見逃して原発を推進した国や道の責任は―。解明すべき問題は山積みです。 (矢野昌弘)


 25日午後、入手した内部文書と関係者への取材を基に本紙記者は、北電本社に「やらせ」の事実について確認を求めました。

 どこまで把握しているのか探りたいという雰囲気の担当者。記者が内部通達文書の送信元が北電泊事務所渉外課であることを指摘し、そのメールアドレスまで告げた瞬間、担当者が「グッ」とうめき声のような声を発しました。逃れようのない事実を突きつけられたことに衝撃を受けたのかもしれません。

 北電は26日夜に会見を開きましたが、当初は「やらせ」の事実を認めたものの、反省の言葉はありませんでした。マスコミ記者から「道民への謝罪はないのか」とただされ、ようやく謝罪しました。

 北電の悪質ぶりは、本紙が取材する前に「やらせ」を公表する機会を持ちながら、口をぬぐっていたことにもあらわれています。

 経済産業省は7月に「やらせ」の社内調査を電力各社に求めました。調査対象が「国主催のシンポ」と限定されていることをいいことに、北電は「確認されなかった」と報告。今回、「やらせ」が判明した道と4町村主催のシンポについては、対象外にして、沈黙していたのです。公益企業が当然持つべき順法意識の欠如や根強い隠ぺい体質があると言わざるをえません。

 経産省の7月の「やらせ」調査が、極めて不十分なものであることも明らかになりました。7月の調査では、過去5年間に国主催のシンポを一度も開かなかった関西電力や北陸電力は、調査報告を出すこともありませんでした。

 道の対応も問題です。問題の道主催シンポは、参加した日本共産党の大田勤岩内町議が証言するように、会場の参加者が多数、発言を希望しているのに打ち切って閉会。“住民理解”が進んだとは言えません。

 それなのに、道はシンポの5日後に「広く道民から意見を聞く狙いは一定程度、達成できた」として、市民団体の再開催の要求を聞き入れませんでした。プルサーマルの安全性を住民の目で検証するはずのシンポが、北電と道の共同で、形式的なセレモニー(儀式)の場に利用されたかたちです。

 道民不在の国と道、北電3者のなれ合い関係にメスを入れることなしに、泊原発3号機の営業運転再開やプルサーマル導入はありえません。

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