2011年8月27日(土)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 住民の理解を得る必要がある問題で、よく行われるのがシンポジウム。複数の人が講演や報告をして、聴衆も意見をのべる形式の討論会です。語源は古代ギリシャの「饗宴(きょうえん)」からきているそうです▼本紙26日付は、北海道電力が泊原発3号機のプルサーマル導入をめぐって開かれた道主催のシンポ(2008年)で、参加して推進意見をのべるよう社内通達を送っていたと報じました。いわゆる“やらせ”工作です▼通達を読むと、同様のことが日常茶飯だったのではと推察できます。「数多くの方にご参加いただき推進意見を提出して」という指示。発言すべき具体的内容などにはふれていません。言わずもがなということでしょうか▼北電は、26日夜、本紙の報道を認めましたが、過去にも同様の社内文書を出していたことが発覚しています。99年の文書には「主婦の立場」を装った意見のひな型まで添付していました。10年余を経た今回の通達。北電関係者が本紙に動員はいつものことだと証言していますが、細かい指示が必要ないくらい“やらせ”が当たり前になっていたのか▼北海道の高橋知事は、一連のシンポを受けてプルサーマル受け入れを表明。九州電力の“やらせ”メールが問題になった玄海原発のシンポでも開催後、海江田経産相が営業運転再開を地元に要請しました▼不正があれば、推進の前提が崩れます。それでも強引にすすめようとする原発利益共同体。シンポを甘い蜜を吸うための「饗宴」の場だと思っているのでは。





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