2011年8月22日(月)「しんぶん赤旗」

消費者行政後退のおそれ

国民生活センター一元化

大門議員 「白紙に戻し議論を」


 独立行政法人国民生活センターの消費者庁への一元化は消費者行政の後退につながるおそれがあるとして、消費者団体が抗議の声をあげ、国会でも慎重な対応を求める声が出されています。改めて一元化問題をみてみると―。

 同センターは1970年に設立され、苦情・相談対応、各地の消費生活センターの支援、商品テストなどを実施してきました。一方、消費者庁は、消費者行政の基本的政策の企画・立案・推進を担うとして2009年に発足しました。その際、日本共産党は、規制緩和の名によるセンターの直接相談業務の廃止や商品テストの外部化などを批判。「規制緩和を根本的に見直し、消費者の権利や利益を守る立場に立つ」(吉井英勝議員)よう求めました。

8月中に最終報告

 しかし、センターは10年に「事業仕分け」の対象になり、昨年12月に閣議決定で「廃止を含め検討する」とされました。消費者庁とセンターでつくるタスクフォース(作業班)が7月25日に出した「取りまとめ」は、「多くの事業で重複がある」などとして「一体性の確保」などを求めました。8月中に最終報告が出される予定です。

 一元化の問題点として消費者団体があげているのは、消費者庁が事業者名の公表に慎重すぎて、消費者への被害情報の発信が遅れる危険性です。存在しない会社の社債を使った勧誘被害では、センターが10年3月に事業者名を明らかにして注意を呼びかけたのに対し、消費者庁が事業者名を公表したのは同年10月でした。

 事業者の監督官庁と“事前調整”が行われる危険性も指摘されています。貴金属の買い取り商法被害では、センターが昨年12月、「特定商取引法の適用対象となり得るとの考え方もある」との考えを発表しようとしたのに対し、消費者庁は警察庁と協議し、「触れることについては否定的だったので、ほとんど落とした」(7月1日消費者委員会、野々山宏センター理事長)として削除されました。

 「取りまとめ」に対し、消費者庁の監視・諮問機関である消費者委員会は、あっせんと各省庁の調整問題など「示した懸念は、あまり解消されていない」(8月5日)との意見を示しています。

「暴走」に強く抗議

 センターの重要性については、消費者庁設置法が「さらなる整備を図る」と規定し、国会の付帯決議も消費者委員会の意見を十分尊重するよう求めています。消費者団体などでつくる全国消費者行政ウォッチねっとは7月27日、「消費者庁の『暴走』に強く抗議します」との声明を発表し、法律や国会の付帯決議、消費者委員会の意見を尊重するよう求めています。

 10日の参院消費者問題特別委員会では各党から「この夏決定するような拙速なことは絶対にやめていただきたい」「国会が消費者庁をつくったときの認識とずれている」などの意見が出されました。

 日本共産党の大門実紀史議員は、法律や付帯決議にも反するやり方を批判し、「じっくり検討すべきだ。“一元化ありき”でなく、白紙に戻って一からちゃんと議論すべきだ」と指摘しました。細野豪志消費者担当相は「消費者委員会のご意見もしっかりうかがった上で判断をしたい」と答えました。





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