2011年8月16日(火)「しんぶん赤旗」

民主代表選 「大連立」発言相次ぐ

原発に無反省の自公 政権「復帰」許すのか


 「ポスト菅」をめぐる民主党の代表選が急速に本格化し、同党と自民、公明両党との「大連立」や、民自公3党の協力体制を求める動きが強まっています。


 代表選出馬の意向を示した野田佳彦財務相は「救国内閣をつくるべきだ」などとし、自民、公明との大連立を目指す意向をいち早く表明(13日)。14日のNHK番組でも「与野党協議ではなく連立も視野に入れる。意思決定を迅速にしてお互い責任を持ち合う体制がいい」と述べました。

 岡田克也幹事長は野田氏の表明について「当然、そういう考え方はあっていい」としつつ、「最初からはなかなか難しい。まずは協力を積み上げ、その延長線上に部分連立や大連立があるかもしれない」と語りました。

 また、自身の出馬には否定的とされる前原誠司前外相も14日のフジテレビ番組で「大連立を1年程度は政策を決めてやるべきだ」とし、震災復興、財政再建、衆参両院の定数是正などを課題として示しました。

自民もエール

 これに対し、自民党の谷垣禎一総裁は11日、野田氏について「思いつきをつぎつぎと打ち上げる方ではない。がんばってもらいたい」とエール。石破茂政調会長は12日の記者会見で、「子ども手当や赤字国債発行法案をめぐる協議で、民主、自民、公明3党の信頼関係は深まっており、自民党からこの関係を捨て去ることはない」と述べ、民主党が公約投げ捨てを引き続き進めることを前提に協力関係を築く姿勢を示しました。

 「大連立」・3党協力の素早い連呼の背景には、「安定政権」を口実に「大連立」を既定の流れにするという狙いがあります。

 民主・自民・公明の三党合意で、民主党がマニフェストに掲げた主要政策を投げ出し、完全に自民党に同化を遂げた段階で、「大連立」の条件と危険が強まっていることは重大です。

国民と矛盾が

 「読売」11日付「社説」が「新首相の下で復興体制確立を」で「大連立、閣外協力」を呼びかけ、消費税増税、原発再稼働、原発輸出などの成長戦略立て直し、環太平洋連携協定(TPP)への早期参加を求めているように、大震災・原発事故という危機のもとで、これまで狙ってきた悪政を一気に押し通そうとしているのです。

 しかし、それは自民党政治の“チェンジ”を求めた2年前の総選挙での国民の審判に逆行するもので、国民との矛盾がいっそう深刻化することは避けられません。自民党と民主党に基本的な違いは何もないことを自ら証明するという点では、政権交代可能な「二大政党」体制の破たんをさらすことにもなります。

 しかも、自民党・公明党には世界有数の地震・津波国である日本に危険な原発を建設し、「安全神話」をふりまいて今回の過酷事故を招いた最大の責任があります。それへの反省を明確にしないまま、政権「復帰」を認めていいのかが厳しく問われます。

 民主党内からも「原発依存の引き下げも明確にできず、増税、TPP推進で『大連立』に向かうというのは最悪の方向」という声が漏れてくるのは当然で、党内矛盾も拡大せざるを得ません。(中祖寅一)





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