2011年7月30日(土)「しんぶん赤旗」

保安院 やらせ指示

中部電に07年原発シンポで

動員・推進発言を工作


 経済産業省原子力安全・保安院が原発推進の「やらせ」質問の工作を指示していた―。中部電力など電力会社各社は29日、国が主催したシンポジウムや住民説明会などで「やらせ」質問などがあったかについての調査結果を公表。保安院の「やらせ」質問工作をはじめ、電力会社が参加を要請した住民に例文のメモを示して発言させるなど世論誘導の実態の一端が次つぎに明らかになりました。


 九州電力玄海原発の再稼働に向けた国主催の「説明番組」で、九電が関係会社社員らに再稼働賛成の「やらせ」メールを投稿するように依頼していたことが明らかになったのを受けて、経済産業省資源エネルギー庁が「同様の働きかけの有無」の調査を求めていました。調査対象は過去5年に開かれた国主催のシンポジウム。関西、北陸電力などは含まれていません。

 中部電力によると、2007年8月に静岡県御前崎市で開かれた浜岡原発4号機のプルサーマル発電のシンポジウムを前に、経済産業省原子力安全・保安院から、「質問が反対一色にならないよう、(容認の立場からの)質問書を作成し、地元の方に質問していただくよう」に、という指示を受けていました。

 中電は「やらせ」質問の文案を作成したものの、「コンプライアンス(法令順守)上、問題がある」として、指示を拒否したといいます。保安院の指示には「空席が目立たないように、シンポジウムの参加者を集めること」も含まれており、中電は社員、関連企業、地元に動員をかけていました。

 四国電力は、2006年6月に開かれた伊方原発3号機のプルサーマル計画についてのシンポジウムで、同社や関連企業の社員、老人クラブなどの地域団体に質問・意見を要請し、発言した15人中、10人は四国電力が依頼した人だったと発表。調査結果には、参加者に対して「質問や意見については、本人に例文のメモを見せて、内容了解のもとお願いした」とあり、「専門用語が多く理解しにくいところもあるが、プルサーマルはプルトニウムの特性や性質をきちんと把握して行うとのことなので安心した」などの発言の例文を明らかにしています。

 中国電力は2010年の島根原発の保守管理の不備についての住民説明会で、地域で原発やプルサーマルに理解ある人に質問や要望を出すよう依頼。2009年の島根原発2号機のプルサーマル計画と耐震安全性の住民説明会では、社員とグループ企業には参加要請、全参加者361人のうち、社員とグループ企業が180人だったといいます。

 東京電力は27回の中越沖地震に関する住民説明会について、社員と関連企業を調べ、課長級以上の経験者27人が社員や関連企業に参加要請をしたといいます。


国会招致、真相究明を

市田書記局長が表明

 日本共産党の市田忠義書記局長は29日、原子力安全・保安院が中部電力に「やらせ質問」を指示していた問題について記者団に問われ、「原子力の『規制機関』であるはずの保安院が『やらせ』まで依頼していたことには怒り心頭だ。国会に関係者を招致し徹底して真相を明らかにすべきだ」とのべました。

 市田氏は、「保安院が原発推進の経産省の一部局であることに根本問題がある。日本共産党は以前から規制機関と推進機関の分離を求めてきたが、いよいよ分離の必要性が明らかになった」と指摘。保安院による「やらせ」が「中部電力だけでなく、他の電力会社にもおこなわれていた疑いもある」とのべ、徹底解明が必要だと表明しました。





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