2011年7月16日(土)「しんぶん赤旗」

チリ学生ら10万人デモ

教育政策の充実求める


 【メキシコ市=菅原啓】南米チリの首都サンティアゴで14日、教育予算増額や公教育の充実などを要求するデモが行われ、主催者のチリ大学生連合によると、参加者は約10万人に達しました。

 デモには、大学の教職員や高校生、父母らが「教育は売り物じゃない」「まともな教育を」などのプラカードを掲げて参加。大統領府まで行進しました。

 チリでは、ピノチェト軍政時代(1973年〜90年)に導入された新自由主義政策によって、教育予算が削減され、授業料が大幅に引き上げられてきました。

 国立チリ大学の研究者パトリシオ・メレル氏によると、米国では大学予算に占める国家と学生の負担比率が、1対2なのに、チリではこの比率が1対5で、学生側の負担がより大きいと指摘。チリでは、過去12年間で授業料が医学部で2・2倍、工学部で1・6倍となり、多くの学生が借金せざるをえない状況にあります。

 現地からの報道によると、デモに参加したある男子学生(24)は、4年間の授業料は500万ペソ(約87万円)だが、税金とローンの利子払いを含めると総額で1200万ペソも支払うことになるとして、「借金で押しつぶされそうだ」と窮状を訴えました。

 ピニェラ大統領は先週、学生たちの要求にたいして、約40億ドルの資金を提供する新政策案を発表。政府は、これにより、奨学金増額、利子の引き下げを通じて、全国で72万人の学生が恩恵を受けることになると説明していました。

 しかし、学生側は、不十分だとして、政府の提案を拒否。今回のデモを呼びかけました。





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