2011年7月9日(土)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 牛舎で、道ばたで、倒れゆく牛たち。避難させられた飼い主たち。詩人の石川逸子さんは詠みます▼「(神国日本は不敗)の次は/(日本の原発は安全)神話の/生贄(いけにえ)になった 動物たち・人間たち」(『詩人会議』8月号「牛のささやき」)。詩人は、放射能に汚染された地をさまよう牛の姿に、歴史の曲がり角をみたのでしょう▼多くの人が3・11以来、日本は時代の変わり目にきていると感じ取っています。もっとも、違う人はいます。福島原発の事故のあと、「原子力行政が曲がり角にきているとは思わない」と語ったのは、米倉・日本経団連会長です▼「1000年に1度の津波に耐えているのは素晴らしいこと」と、東電と国をかばった財界トップ・米倉氏。しかし今度は、やはり経団連の有力企業の九州電力が、原発を守るため“やらせメール”事件をおこす始末です。財界を動かす日本の大企業の経営能力に、疑問がつのります▼世界に進出してきた日本の大企業群。しかし足元は、欧米に例をみない、長時間労働、人道にもとる派遣など非正規労働、下請けいじめ。いわば、前近代色濃いルール破りで会社をもたせています。そのうえ、大変な事故を起こし、各国が脱原発にすすんでも、なお原発にしがみつく▼世界に通用しない人権軽視の経営を続けないと、あるいは人命の危機がともなう原発に頼らないと、資本主義を成り立たせられないほど無能力なのでしょうか。とすれば、“脱財界支配”への歴史の曲がり角にもきています。





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