2011年7月7日(木)「しんぶん赤旗」
カリブ諸国 首脳会議
医療充実 地域統合へ
共同機関設置で南南協力
カリブ海諸国でつくるカリブ共同体・共同市場(カリコム)が、医療や教育の充実を考慮に入れた地域統合や発展途上国同士の協力強化に向け努力を続けています。6月30日〜7月4日にセントクリストファー・ネビスの首都バステールで開かれた首脳会議では、共同の医療機関の設置や南南協力の推進などで合意しました。 (島田峰隆)
カリコム事務局が4日発表した報道機関向け文書によると、会議は「投資と雇用創出につながる環境をつくる」として、域内の単一通貨導入も視野に入れた、より効率的な単一市場を実現する方針を再確認しました。
一方で、「カリコムは教育や医療などこの地域にとって重要な問題にあまり注意を払ってこなかった。これは統合の努力が経済協力に集中していたからだ」(トリニダード・トバゴ首相)などの意見も出されました。
こうした声を受けて、会議は、加盟国が共同で医療機関を設立し、各国の公共医療体制を充実させることも決めました。事務局の発表によると、これは「地域の健康は地域の富」だと指摘した過去の首脳会議の決定の具体化だといいます。
今回の首脳会議には、南米コロンビアのサントス大統領がゲスト参加。カリコム諸国の首脳らと同大統領は、発展途上国同士の協力の必要性を確認しました。
サントス大統領は、「北側諸国(先進工業国)は金融危機による困難に直面している」と指摘し、「今こそ南の国々(発展途上国)に目を向けるときだ」と語りました。また、米州諸国の首脳が一堂に会する米州サミットが次回はコロンビアで開かれることから、「(同会議で)われわれは米州諸国の新しい関係を促す。それは経済発展の新しい現実に即した関係になるだろう」と語りました。
カリコム 「カリブ共同体・共同市場」の略称。カリブ海にある旧英領の島しょ国が中心となり、経済統合と相互協力の促進を目的に1973年に結成。現在は14カ国・1地域が加盟しています。本部はガイアナのジョージタウン。
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