2011年7月5日(火)「しんぶん赤旗」

「しんぶん赤旗」日刊紙発行の危機打開のために

――全党の同志のみなさんに訴えます

2011年7月4日 日本共産党中央委員会


全党の同志のみなさん

 日頃のご奮闘に心から敬意と感謝を申し上げます。

 大震災と原発災害を契機に、いま多くの国民のなかで、日本の政治と社会のあり方について新たな模索と探求が始まっています。科学的社会主義と党綱領の見地で世界と日本の出来事を解き明かし、真実を伝える「しんぶん赤旗」は、こうした模索と探求に正面から応えることができる唯一の新聞です。とりわけ、激動の情勢下で世界と日本の日々の動きを変革の立場で伝える日刊紙は、わが党の前進の命綱であり、日本社会変革のたたかいの発展にとって不可欠のものです。

 この日刊紙がいま、大きな経営的困難をかかえ、発行を続けることが危うくなっています。この危機を打開するために、日刊紙読者の拡大に力をつくすとともに、日刊紙の購読料を500円値上げすることがどうしても必要となりました。みなさんのご理解と協力を心から訴えるものです。

全党の同志のみなさん

 「しんぶん赤旗」は、1928年の創刊以来、一貫して侵略戦争に反対し、自由と民主主義、国民の命と暮らしを守るために、どんなタブーもなく真実を報道し続けてきました。今日の情勢の激動のもとで、「しんぶん赤旗」が果たすべき役割はいよいよ重要となっています。

 2009年の総選挙で「政権交代」が実現したことを大きな転機として、「二大政党」づくりの動きは、深刻な行き詰まりにつきあたっています。国民が「政権交代」に期待したのは、自民党政治からの変化でした。しかし、実際に起こったことは、普天間基地、消費税、TPPなど、どの問題をとっても、自民党政治への回帰であり、多くの国民が、民主党政権への失望、批判、怒りの声をあげています。同時に、なんらの展望をもしめせず、不毛で党略的な政権攻撃にあけくれる自民党に対しても批判を強めています。

 大震災と原発事故は、「二大政党」のこの行き詰まりをさらに深刻なものにしています。戦後最悪の災害にさいして、国のかじ取りの能力がなく、被災者そっちのけで政争にあけくれる両党の姿に、多くの国民が、あきれ果てています。

 国民の中に、新しい政治への探求が生まれ、まだ部分的ですが、大震災・原発問題でのわが党の活動への共感が広がり、日本共産党の主張にこそ政治の真実があるのではないかという動きも、さまざまな分野でおこりつつあります。

 財界主導ですすめられた「二大政党」づくりの最大の目的は、日本共産党を選択肢の外に置くことによって政界から締め出すことにありましたが、この作戦は、「政権交代」からわずか2年という、支配勢力の思惑を超えるスピードで馬脚をあらわしているのです。「二大政党」づくりの根本に、アメリカいいなり、財界中心という日本の政治の「二つの異常」があることを国民が見きわめ、日本の政治を変えていく展望をつかむことができるならば日本の政治は大きく変わります。

 情勢のこうした劇的な変化にふさわしいスピードと規模で、国民と結びついた強く大きな党をつくることがどうしても必要です。「しんぶん赤旗」日刊紙の発行をなんとしても守りぬき、真実と理性を伝えるメディアとして発展させることは、激動の情勢を前にすすめるうえで絶対不可欠です。

全党の同志のみなさん

 いま日刊紙が直面している経営上の困難は、きわめて深刻であり、一刻も放置できないものです。

 日刊紙の読者数は、この10年余の間に36万人から、24万人余に後退しています。「しんぶん赤旗」は、大企業などの広告料に大きく依存している一般紙とは異なり、読者からの購読料が収入の中心です。読者数の後退は収入の減少に直結します。

 「しんぶん赤旗」の発行には莫大(ばくだい)な経費がかかります。数ある政党の中で、日刊紙を発行し、自前の印刷所、独自の輸送・配達ルートを持ち、全党の力で支えているのは、「しんぶん赤旗」だけです。日刊紙と日曜版は、それぞれ独自に採算の管理をしています。部数が減り、「売り上げ」が減るなかで、発行経費を差し引いた日刊紙の赤字は、今年に入って月2億円になりました。

 日刊紙の経営は長期にわたって赤字でしたが、2000年以来11年間値上げはせずに、日刊紙の発行を維持するためにこれまで主として二つの方策を講じてきました。

 一つは、日刊紙の発行コスト削減の努力です。編集局の日常経費の節約をはじめ、地方版紙面の統合、「別刷り学習・党活動版」の廃止など製作面数の縮減などをおこなってきました。もう一つは、この赤字をうめるため、日曜版の収益をつぎ込むという方策です。しかし、そのいずれもが限界に達しています。

 日刊紙、日曜版のそれぞれが適切な収益をあげ、党費、募金とともに党の基本財政をささえるというのが党財政の本来のあり方です。しかし、いま、日刊紙経営の危機が、中央の財政にも深刻な影響を及ぼし、その結果、宣伝・選挙をふくむ諸活動をすすめるうえで重大な障害になっています。日刊紙の危機打開はもはや猶予できない事態であり、抜本的な打開が急務となっています。

 こうした事情の検討のうえにたって、日刊紙の発行を守るため、次のとりくみをすすめることにしました。

 一つは、日刊紙の購読料を500円値上げすることです。日刊紙を購読している党員や読者のみなさんの生活状況を考えると、500円の値上げが大変なことは痛いほど承知しています。しかし、日刊紙を守り、暮らしをよくしていく力を強めるためには、これはどうしても必要なことです。

 もう一つは、この料金改定によって26万部で採算がとれることになります。現在の24万から2万以上前進させるならば、日刊紙の発行を安定的な軌道にのせることができるようになります。

 このことを全党の力でどうしてもやりとげたいと思います。実施は、9月1日からとします。

 「正義と真実の新聞」「日本国民にとっての宝」ともいうべき日刊紙をみんなの力で守りぬき、発展させるために、どうかご理解とご協力をお願いします。

 この日刊紙を、さらに良いものにする努力を強め、1日も読まずにはいられない魅力ある新聞へと、綱領の立場にたって世界と日本の真実に迫る「しんぶん赤旗」らしい報道と解説に全力をつくします。

全党の同志のみなさん

 日刊紙の安定的な発行を可能にし、読者を広げるために、次の3点を心から訴えます。

 一つは、日刊紙をすべての党員が購読することです。一人ひとりの党員の日刊紙未購読の状況にはそれぞれの事情があると思いますが、日々の「しんぶん赤旗」を読み、日本共産党員として誇りと確信をもって生き、活動するためにも、ぜひ、みなさんが日刊紙を購読することを訴えます。

 二つは、各界各分野の広範な人々のなかに、日曜版とともに、日刊紙を普及することです。それは、新しい日本への世論をつくっていくうえで重要な意義をもちます。

 三つは、日刊紙の早朝配達体制を確立・強化することです。党員を増やし、新鮮な力に依拠して、支部の活性化をはかることは、こうした点からも切実な課題です。

 もちろん日曜版には、週刊新聞として独自の魅力と役割があります。日曜版の着実な前進のために、紙面の内容を語って、広く購読をよびかける独自の手だてをつくすことを訴えるものです。

全党の同志のみなさん

 なんとしても日刊紙の発行を守らなければなりません。「しんぶん赤旗」は、創刊いらい、戦前、戦後を通じて、さまざまな弾圧や困難に直面しながら、その都度、党員の献身的な努力、読者や支持者の貴重な協力と支えによって乗り越えてきました。来年、創立90周年を迎える党の先輩たちの苦労に思いをはせながら、日刊紙を守り抜くことは、日本社会の変革者として、歴史と国民にたいする日本共産党の責任です。

 全党のみなさんのご奮闘とご協力を重ねて訴えます。





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