2011年7月3日(日)「しんぶん赤旗」
タイ総選挙 きょう投開票
根深い“国民分裂”長期化
【バンコク=面川誠】タイ下院の総選挙が3日、投開票されます。2006年のクーデターで失脚したタクシン元首相派と反タクシン派の対立による根深い“国民分裂”を抱えたまま、選挙戦を終えました。
各種世論調査によると、農民や低所得者層の支持を受けるタクシン派野党・貢献党が第1党をうかがう勢い。高学歴層と中高所得層の支持が厚い反タクシン派の与党・民主党は、地盤の首都バンコクでも劣勢です。
食料品や日用品の価格高騰による庶民層の生活苦が、貢献党への支持につながっているとみられています。
両党は1日夜、首都で最後の集会を開催。貢献党の首相候補でタクシン氏実妹のインラック氏は、最低賃金を1日1000バーツ(約2600円)に引き上げ、すべての農民の土地所有を推進すると公約しました。
一方、民主党のアピシット首相は、国外亡命中のタクシン氏の汚職に焦点を当て、「貢献党はタクシン復権を狙っており、国民の利益より一個人の利益を優先している」と非難しました。
貢献党幹部の一人は集会場で、「政治対立の背景には、タクシン政権期の生活支援策で恩恵を受けた農民や低所得労働者が一大政治勢力化したことによる階層間対立の激化がある」と言います。「エリート支配層は、数で勝る“無学な連中”が気に入らないのだろう。だが政権政党を決めるのは国民だ」と語気を強めました。
アピシット政権は25日、世界遺産条約からの脱退を表明。タイのメディアは、ヒンズー寺院遺跡「プレアビヒア」がカンボジアの申請で世界遺産に登録されたことに対するタイ国民の不満を、民主党への得票に結びつけようとの狙いがあると指摘しています。
政治対立が長期化する背景としては、プミポン国王の健康悪化も指摘されます。政治に大きな影響力を持つ軍を含む伝統的支配層は、王室を国の支柱として絶対視していますが、タクシン氏の持論は「厳格な立憲君主制」。貢献党には共和制を志向する勢力も合流しているため、軍・警察は同党を「国の安定を脅かす勢力」とみなし、関係者を相次いで不敬罪で摘発してきました。
総選挙の投票は3日午後3時(日本時間同5時)に締め切られ、即日開票されます。同日深夜には大勢が判明する見通しです。
タイの総選挙 下院500議席(全国1区の比例代表125議席と小選挙区375議席)を選出。有権者は約4730万人。今回、40政党が候補者を擁立。無所属立候補は認められません。投票日前日午後6時から投票日当日は酒類販売禁止。

