2011年7月1日(金)「しんぶん赤旗」

武富士創業家を提訴

782人 過払い金返還求め


 サラ金大手の武富士の倒産により、利息制限法の上限を超えて払わされた過払い利息の返還を受けられなくなったとして、被害者782人が30日、創業者の故武井保雄元会長の長男の俊樹氏(元専務)や妻の博子氏らを相手に損害賠償を求めて全国の地裁でいっせいに提訴しました。


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(写真)武富士の過払い金損害賠償請求訴訟の意義を語る及川弁護士(左から2人目)ら=30日、東京地裁

全国いっせい

 「武富士の責任を追及する全国会議」(代表・新里宏二弁護士)は1万人の原告、100億円の損賠請求をめざしており、今回はその第1陣。6日に提訴する静岡地裁を含め、提訴先は9地裁。北海道から沖縄まで24都道府県の被害者849人が参加し、請求額は19億4千万円です。

 提訴後、会見した関東地方在住の被害者男性(71)は、1982年に妻の病気で生活に困り武富士から借り入れて以来、同社が倒産する直前の昨年9月まで返済を続け、過払い金は約500万円に上ります。「毎月の支払日に少しでも遅れると利子を上乗せされました。絶対に許せない」と怒りを込めました。

 武富士元会長からの株贈与をめぐる追徴課税処分取り消し訴訟の結果、俊樹氏に国から2000億円(うち利子は400億円)が還付されることになったことについて、「国から俊樹氏には400億円利子が支払われて、私たちの過払い金は返還されないというのはまったく納得できない」と訴えました。

 同会議事務局長の及川智志弁護士は、提訴の意義は(1)武井一族の私財をもって被害者に賠償させる(2)武富士の会社更生手続きで被害者に不利な更生計画が出てきたときにそれを拒否できるような力を形成する―ことだと強調。「バラバラの債権者のネットワークをつくりたい。そのために、提訴の動きを広げたい」とのべました。

 新里弁護士は「暴利をむさぼったサラ金が財産を(武井一族の)私財に移転させ、会社だけ倒産というのでは被害者は納得できない。会社更生だけではできないことがある。裁判は、被害者がきちんと救済される社会をつくる上で意味がある」と語りました。


 武富士元会長贈与訴訟 武富士元会長の故武井保雄、博子夫妻からの株贈与をめぐり、長男の俊樹氏が国に贈与税など1330億円の追徴課税処分取り消しを求めた訴訟。二審判決は課税処分を妥当としましたが、今年2月の最高裁判決は、贈与時に海外に移転していたため非課税だとの俊樹氏の主張を認めて処分を取り消し、利子400億円を含む約2000億円が国から俊樹氏に還付されることが決まりました。武富士の被害者らは、俊樹氏への還付金も過払い金返還に充てるべきだと求めています。





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