2011年6月27日(月)「しんぶん赤旗」

ムスリム同胞団が選挙連合

イスラム主義台頭に懸念

エジプト


 【カイロ=伴安弘】ムバラク独裁政権崩壊後のエジプトで、穏健イスラム主義組織「ムスリム同胞団」の動向が注目されています。21日には同胞団が創設した自由公正党が自由主義政党や左翼政党など17の政党と選挙連合「民主連合」を結成。イスラム主義の台頭に対する国民の懸念を取り除くことができるのか、見方は割れています。

 エジプトの英字紙エジプシャン・メール(14日付)は「イスラム主義の台頭が(宗教による国家への介入に反対する)世俗主義者をいらだたせている」との特集を掲載。「私たちが独裁者を追い出したのは、別の専制主義に道を開くためではない」「イスラム主義者が権力を握れば、エジプトは一つの見解だけ、一つの政治勢力だけの国になってしまう」という声を紹介しました。

 同胞団は国民の懸念を取り除くため、4月30日に自由公正党の結成を発表した際、「市民的な政党」であることを強調。党のナンバー2にキリスト教徒(コプト教徒)を配しました。

 自由公正党は他の野党との選挙連合を結ぶに当たり、「信仰の自由や市民の権利などの基本的社会価値の尊重」を受け入れました。連合に参加した国民進歩統一党(タガンマア党)はこうした点を評価しています。

 同胞団は次期大統領選挙に候補者を立てないことも明らかにしています。カイロ大学のカメル・サイエド教授は地元紙で「同胞団の戦略は穏健政党として打ち出すことにある」と分析しています。

 しかし選挙制度が決まらない段階で選挙連合を結んだことに、同胞団がワフド党など古くからある政党の陰に隠れて力を伸ばそうという戦略があるとの見方もあります。

 一方、青年運動の活動家で大学教授のアムル・ハムザウィ氏は、イスラム主義者と、旧政権に対抗してきた自由主義者とがエジプトの最善の利益のため、協力し合う場を見つけ出すべきだと主張。同氏は、同胞団が貧民救済や社会福祉で底辺の人たちと結びついてきた強みがあるのに対し、自由主義者らはエジプトの大多数の民衆と結びついてこなかったと指摘しています。





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