2011年6月25日(土)「しんぶん赤旗」

B型肝炎 和解基本合意

国謝罪・恒久策など盛る

10地裁の訴訟 個別協議へ


 B型肝炎ウイルスに感染した被害者が国に損害賠償を求めているB型肝炎訴訟の和解協議が24日、札幌地裁(石橋俊一裁判長)で行われ、原告と国との間で基本合意の内容が確定されました。基本合意書は28日に調印され、その後、菅直人首相が患者らに謝罪します。これにより全国10地裁で係属しているB型肝炎訴訟は、原告ごとの個別和解に向けた協議が進められます。


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(写真)患者の被害回復を増税の理由にしないでと訴える谷口代表(中央)ら原告団=24日、札幌市

 石橋裁判長は協議の中で「被害者が生きていらっしゃるうちに救済を受けていただくことが肝要」と所感を述べ、国に個別和解の手続きを迅速に進めるよう求めました。

 基本合意には、集団予防接種の注射器使い回しでB型肝炎被害を生じさせた国の責任と謝罪、恒久対策、再発防止のための第三者機関の設置、原告・弁護団と国との継続的協議の場の設定が盛り込まれます。

 大勢の報道関係者が詰めかけた記者会見場で、全国原告団の谷口三枝子代表(61)は「国を相手のたたかいとは、どういうものかを思い知らされました」と加害の責任を認めようとしない国との、厳しい3年間のたたかいを振り返りました。

 賠償金の予算を口実にした増税論について谷口代表は「私たちへの被害回復を増税の理由にしないでほしい」と訴えました。

 北海道原告団の清本太一さん(33)は「提訴後すでに16人の原告が亡くなっています。一緒に裁判を始めた仲間がこの場にいないのが残念」と言葉を詰まらせました。

 原告らは、口ぐちに「『私たちはB型肝炎患者です』と胸を張って言える差別、偏見のない社会をつくるために、これからも頑張ります」と話していました。


 B型肝炎訴訟 当初の訴訟は、1989年6月、北海道在住の5人の被害者が札幌地裁に提訴。2006年6月に最高裁は、5人の原告の訴えを認めて、国に損害賠償の支払いを命じました。

 国は最高裁判決について「5人だけの問題」と矮小(わいしょう)化。約140万人と推計されているB型肝炎患者の救済に乗り出しませんでした。

 そのために08年3月、別の被害者が新たに札幌地裁に提訴、その後全国各地の被害者が10地裁に提訴。札幌地裁は2度にわたって和解所見を出して早期解決を図りました。





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