2011年6月21日(火)「しんぶん赤旗」
指針に関わらず賠償
枝野官房長官 山下議員に答弁
参院復興特委
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日本共産党の山下芳生議員は20日の参院東日本大震災復興特別委員会で、「東京電力が国の原子力損害賠償紛争審査会の指針を理由に被災者への賠償支払いを遅らせていることは許されない」と述べ、国の責任で全面的で迅速な賠償を東電に実施させるよう迫りました。枝野幸男官房長官は「審査会の指針はひとつの指針で、東京電力が指針とは別に支払うことを妨げていない。明確に支払うべき損害と認められるものは積極的に支払うのが当然と考えている」と答えました。
山下氏は、農業、漁業団体が根拠を示して損害賠償を請求しても、指針に明示されていなければ仮払いさえされていない現状を批判。審査会は紛争が生じた場合の和解の仲介をする場所であり、「紛争になる前から審査会の指針にとらわれる必要はない」と指摘し、「指針に明示されている以上のことを東京電力が賠償してはならないのか」とただしました。
枝野氏が指針に関わらず支払うことが当然との考えを示したのを受けて、山下氏は「だったら、『指針』を理由に支払いを遅らせている東電の姿勢を改めさせるべきではないか」と詰め寄りました。枝野氏は「できるだけ速やかに対応することは促してまいりたい」と答えました。
山下氏は、「漁師が操業自粛になれば仲買人の収入はなくなる。原乳が出荷制限になったらタンクローリーで集める事業者の収入はなくなる。因果関係ははっきりしているが、指針に入っていないと仮払いしないのが東電の態度だ。これは被害者を事故と賠償で二重に苦しめていると言わなければならない」と批判。菅直人首相は「東電自身が自らの判断で迅速に行うようにということは申し上げたい」と答えました。