2011年6月1日(水)「しんぶん赤旗」
22年までの原発全廃
独「再生可能エネ先駆者に」
首相が会見
ドイツのメルケル首相は30日、連立与党が2022年までの原発全廃で合意したことを受けて記者会見し、「ドイツは太陽光、風力、水力など再生可能エネルギーの分野で先駆者となる」と言明しました。
同首相は「エネルギー政策の根本的な見直しで、ドイツは他の国々の模範となる」「輸出、開発、技術、雇用など、あらゆる機会で再生可能エネルギーへの転換を達成した最初の主要な工業国になることができる」と語りました。
また、「原発廃止だけではなく、二酸化炭素(CO2)排出を22年までに40%削減(1990年比)し、再生可能エネルギー比率を現在の17%から35%に倍加する」と言明しました。
ドイツでは福島原発事故直後に、1980年以前に稼働を開始した旧式原発7基の運転を安全点検のために一時停止。政府諮問機関の倫理委員会などにエネルギー政策について諮問していました。
連立与党合意はその答申を反映したもので、7基とそれ以前から故障多発で稼働停止中だった1基と合わせ8基を廃炉、残る9基も21年までに原則的に稼働を停止するというもの。ただし再生可能エネルギー転換が進まない場合には、3基については22年までの稼働延長を認めます。
一方、旧式炉7基のうち1基についてエネルギー需給逼迫(ひっぱく)に備え13年まで再使用可能な状態に保つとの留保が付けられたことに、野党の90年連合・緑の党は反発しています。
環境保護団体グリーンピースは「22年までの原発廃止先延ばしは危険極まりなく、不必要だ」「15年までに原発廃止は可能だ」と主張しています。
ドイツは電力輸出国でしたが、福島原発事故以前は発電量の23%を原発に依存していたため、7基を停止した後は外国から電力を輸入しています。
ドイツ・エネルギー機構(DENA)は27日、ドイツには原発を廃止しても電力自給能力があり、今年春の時点で再生可能エネルギーの発電能力は、原発28基分の2800万キロワット時に達していると発表しています。
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