2011年5月28日(土)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 心配していたことが起こりました。俳優の山本太郎さんが、原発をめぐる発言のせいでテレビドラマに出演できなくなった、と明かしています▼山本さんはインターネットの動画で、子どもが年20ミリシーベルトの放射線をあびてもいいとする文科省の基準を批判していました。もともとの基準の20倍。人が、とりわけ子どもが、住んではいけない値だ、と▼「脱原発」のデモにも参加してきた山本さん。マネジャーから知らされた、といいます。“7、8月に予定されていたドラマが、原発発言が問題になってなくなりました”▼山本さんの発言にたいし、さまざまな意見や疑問が出ても不思議ではありません。しかし、発言を理由にこらしめ、みせしめのような仕打ちにあうのなら、言論・表現の自由はどこに? ところで、大阪府議会には、「君が代」斉唱のとき教職員に起立を義務づける条例案がでてきました▼橋下知事が代表をつとめる、大阪維新の会の提案です。知事は、違反した教職員を辞めさせる条例もつくる、といいます。いずれも、思想や良心の自由を侵す条例案です。「君が代」に内心で抵抗を覚える人も表向きは従え、斉唱の時間は良心を捨て思想を曲げよ、と強いるのですから▼人類が営々とたたかいとってきた自由の重みを、なんと心得ている。山本さんの降板と条例案、切り離しては考えにくい。山本さんも、信念を内心だけに収めて黙り込めばドラマに出演させるといわれても、「はい、はい」とはいかないはずです。





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