2011年5月12日(木)「しんぶん赤旗」

浜岡原発 緊急策では間に合わない

吉井議員の質問 衆院経産委


 浜岡原発はとりあえず「停止」ではなく廃炉にすべきだ―。運転停止の首相要請を受け入れた中部電力。日本共産党の吉井英勝議員は11日の衆院経済産業委員会で、日本共産党が30年前から浜岡原発(静岡県)の中止を求めてきたことを紹介しつつ、有数の地震国で震源域の原発立地を認可した政府の誤りと原発ゼロに向かうべき方向を鮮明にしました。


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(写真)浜岡原発について質問する吉井英勝議員(前列右)。奥左は海江田経産相=11日、衆院経済産業委

吉井議員「震源域の真上」他にあるか

保安院長 世界では事例承知していない

 1981年2月4日の衆院予算委員会で当時の不破哲三書記局長は、浜岡原発が東海地震の想定される震源域の真上にあることを指摘し、1、2号機に加えてさらに3号機の建設を認可した政府を追及。「確実にくる大地震への備えこそ最大の安全保障だ」と計画中止を求めました。

 この質問を紹介した吉井氏は、「菅直人首相は(6日)30年遅れたが、ようやく運転停止を求めた」と述べた上でただしました。

 吉井 世界と日本で、震源域の真上に原発をつくっているのはどこか。活断層から1キロメートル以内に設置している原発はどこか。

 寺坂信昭原子力安全・保安院院長 震源域の真上にある原発は、世界では承知していない。活断層から1キロ以内にある原発は、美浜発電所、敦賀発電所、「もんじゅ」がある。

 世界でも例のない、危険な浜岡原発の立地を認めた政府。吉井氏は、「日本のように震源域の真上に原発をつくっている国はない」と述べ、アメリカでは近くに震源域があるとわかって建設を中止した事例もあると指摘。「活断層の集中地帯に原発を立地すること自体が国際的にみても異常だ」と批判しました。

吉井議員 M9超の想定が必要 

保安院長 政府のチェックはM8.7

 吉井氏は、浜岡原発3号機について政府が81年時の答弁で、「マグニチュード(M)8・6という理論的に考えられる最高震度を想定した」「最大の地震動のすべてを勘案して安全審査をした」などと「安全神話」をふりまき、建設を進めたことを指摘。すでにM8を超える巨大地震が過去1000年間に4回も起こっていることにもふれ、こう問いました。

 吉井 東海・東南海・南海地震などが連動して動いた場合には、マグニチュードはいくらになると想定しているのか。

 寺坂院長 マグニチュードの数字はもちあわせていないが、当時の最大加速度は600ガル(地震の揺れの強さを表す単位)を想定していた。

 吉井 多くの地震学者がM9を超えることも考えないといけないと指摘している。M6・8の中越沖地震でも柏崎刈羽原発(新潟県)では原発のタービン建屋で2000ガルを超え、約3000カ所の機器類が損壊していることを考えないといけない。

 「津波対策をとるというが、M9なら、地震だけでも、とてつもない損壊を受けることを考えておかなければならない」と迫る吉井氏。吉井氏は、その一つとして、液状化の問題をとりあげ、30年前の静岡県の調査では300ガルの加速度で地盤が液状化するとしていることを紹介し、液状化によって取水管が壊れ、原子炉の冷却水が取れなくなる問題をただしました。

 吉井 今回の地震で千葉県浦安市では市域の85%が液状化して上下水道管が破断した。浜岡の冷却水配管は砂をまきこまないように(取水口まで)1キロぐらい先へ延ばしている。液状化したらどうなるのか。

 寺坂院長 建屋は岩盤に直接支持されていることを事業者が確認している。現在、そうした点も含めてチェック作業を進めている。

 しかし、政府のチェックはM8・7の地震を想定したものです。

 吉井氏は、「(震源域が)連動したときにM9を超えることを考えないといけない。配管が(地震の)衝撃によっても破損するし、液状化によっても崩れると考えておくべきだ」と想定の甘さを批判しました。

再生可能エネルギーの普及を

 吉井氏は、その後、政府も震源域への原発立地について「直下に大きな断層があり、大きな震源域となりうる場合には、多分そういうようなところに(原発を)立地することは難しくなるのが通常であろう」(07年11月に当時の鈴木篤之原子力安全委員長)と答弁したことを指摘。班(まだら)目(め)春樹原子力安全委員長も、その考え方は「結局は同じになる」と答えたのを受けて、海江田万里経産相の認識をただしました。

 吉井 いまとりあえず停止だが、浜岡原発は(そもそも立地が難しいという)この問題にあたると思うが、どうか。

 経産相 (福島原発事故後)中部電力に緊急の安全対策はやってもらった。地震が発生すれば津波が襲う可能性が高いので、同時にこれ(津波対策)もやってくださいとお願いしている。

 津波対策だけでことをすませようとする海江田経産相に対し、吉井氏は、「これは緊急対策ですむような話ではない。原子力安全委員会の考え方としては、震源域での立地は難しくなるといってきている。とりあえず(運転)停止ということだが、そもそもここは原発立地にはふさわしくないところだった」と指摘。原発については、再生可能エネルギーの爆発的普及によって段階的に廃炉にもっていくことが必要だと主張しました。

図

(写真) 浜岡原発は東海地震の想定震源域の真上に、美浜原発は活断層の真上にあるほか、敦賀原発と「もんじゅ」も1`以内に活断層がある(注:廃止ずみ原子炉は省略。地震予知連絡会が定めた特定観測地域と観測強化地域は全国的な観測網の整備のため現在は廃止)





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