2011年5月4日(水)「しんぶん赤旗」

「国際法に背く」批判の声

ビンラディン殺害 各国の反応


 米国が国際テロ組織アルカイダの指導者ビンラディン容疑者を殺害したことは、国際社会に大きな波紋を広げました。中南米や中東など各国が相次ぎ、見解を表明しました。


中南米

 【メキシコ市=菅原啓】米国がビンラディン容疑者を殺害したことについて、中南米諸国では、「テロとの戦い」での前進を評価する一方、国際法に背くものだと批判する声が上がっています。

 中南米各国は2日、相次いで見解を表明。ウルグアイのアルマグロ外相は、ビンラディン容疑者の殺害が「国際テロへの打撃」となったと述べる一方、同容疑者は「司法を通じて罪を償うべきだった」と指摘しました。

 ベネズエラ外務省は声明で、同時多発テロの被害を受けた米国民に連帯を表明する一方、米国政府がとった方法は野蛮で不法なものだと批判。「テロをテロで根絶することも、暴力を暴力で根絶することも不可能だ」と指摘し、世界の安全と平和のためには諸国民の尊厳と主権の尊重が不可欠だとの立場を強調しています。

 ブラジルのパトリオタ外相は、あらゆる形態のテロを糾弾すると同時に、今回の事件が世界で「さらなる暴力の拡大を引き起こさないこと」を期待すると表明。チリの上院外交委員会のトゥマ委員長は、パキスタンの主権を無視した今回の米国の作戦について「国際法の有効性をないがしろにするもの」と批判しました。

中東

「歓迎」「米軍撤退を」

 【カイロ=伴安弘】ビンラディン容疑者の死亡についてイラク政府の報道官は2日、「多くのイラク国民を殺害し、国を破壊している組織の指導者の死に安堵(あんど)している」と歓迎しました。

 米国のイラク侵攻後に入り込んだ「イラクのアルカイダ」による報復テロは「100%ある」(バグダッド作戦司令部の幹部)とみられています。石油基地・発電所・橋など攻撃目標になりやすい施設は厳重な警戒態勢の下に置かれました。

 エジプトでは政府は沈黙を守っていますが、穏健イスラム組織「ムスリム同胞団」は同容疑者の死を機会に米国がアフガニスタンとイラクから撤退するよう呼びかけました。同組織の幹部のエサム・エリアン氏はロイター通信に、「彼の死によって暴力が世界を覆っていた理由の一つがなくなった」とし、米国のイラク占領などが「イスラム諸国を長い間傷つけてきた」指摘しました。

中国

成果と評価

 【北京=小寺松雄】中国外務省の姜瑜(きょうゆ)副報道局長は2日、ビンラディン容疑者の殺害について、「国際社会が進めている反テロ闘争における重要な出来事であり、闘争が収めた積極的な成果だ」と評価する談話を発表しました。姜氏はさらに「中国は従来からあらゆるテロに反対し、国際社会の反テロ闘争に積極的に参加している。国際社会は協力をさらに強め、手を携えてテロを取り締まっていくよう主張する」と訴えました。





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