2011年5月2日(月)「しんぶん赤旗」

大震災をのりこえ新しい社会をめざす国民的運動を

第82回中央メーデー 志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が1日、東京・代々木公園で開かれた第82回中央メーデーでおこなった激励あいさつは次の通りです。


写真

(写真)激励のあいさつをする志位和夫委員長=1日、東京・代々木公園

 中央メーデーにお集まりのみなさん、おはようございます。私は、日本共産党を代表して、熱い連帯のあいさつをおくります。

 まず私は、大震災で犠牲となられた方々への深い哀悼とともに、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。

 また、被災者救援のために全力をあげている行政関係者のみなさん、現地に共同センターをつくり、救援物資を届け、ボランティア派遣にとりくんでこられた民主団体のみなさんの大奮闘に、心からの敬意を表するものです。(拍手)

真の復興は人間復興、住民合意と民主主義をつらぬいて

 大震災、原発事故の被害はきわめて甚大です。私は、この国難を乗り越え、新しい日本をつくるために、三つの国民的運動をよびかけるものです。

 第一は、被災者支援と、復興のための国民的運動であります。

 せっかく助かった命をけっして犠牲にしてはなりません。1カ月半以上たっても、温かい食事がない、風呂に入れない、間仕切りがない、医療や介護の手が届かないなどの劣悪な避難生活をただちに改善し、希望者全員が入れる仮設住宅の建設・確保のためにあらゆる手だてをとることを強く求めようではありませんか(拍手)。同時に、私たちがなしうるあらゆる救援活動をさらに強化しようではありませんか。(拍手)

 復興にあたっては、「生活再建と地域社会の再建こそ、復興の土台」を、大前提にすべきです。「住まい」を再建すること、農業・漁業・中小企業を再建し「仕事」を保障すること、医療・介護・学校・保育園・自治体など「公共」を再建すること―「住まい」「仕事」「公共」の再建が一体となって進んでこそ、生活再建、地域社会の再建は達成できます。そのために個人補償の抜本的拡充、従来の枠組みを超えた公的支援の実現を求める一大国民運動をおこすことをよびかけるものです。(「いいぞ」の声、拍手と指笛)

 復興の進め方は、「計画は住民合意で、実施は市町村と県・国が連携して、財政の大半は国の責任で」を、大原則にすべきです。一番やってはならないことは、被災地の実態を無視した「上からの押し付け」です。復興を名目にした消費税増税を許してはなりません(拍手)。真の復興とは人間復興であり、それは住民合意と民主主義をつらぬいてこそ可能になる―このことを強く求めていこうではありませんか。(拍手)

原発からの撤退、そのために期限をきめたプログラムを

 第二は、原発事故の収束に総力をあげるとともに、原発政策の根本的転換を求める国民的運動を発展させることであります。

 福島原発事故が明らかにしたことは何でしょう。

 一つは、いまの原発の技術は本質的に未完成で危険をはらんだものだということです。冷却水がなくなると炉心が溶け、コントロール不能となり、大災厄をもたらす―そうした本質的危険をもっているということが万人の前に明らかになりました。

 二つは、そうした施設を、世界有数の地震国であり、世界一、二の津波国である日本に集中立地することは、とりわけ危険きわまるものだということです。

 三つは、にもかかわらず歴代政府が、「安全神話」にしがみつき、繰り返しの警告を無視して安全対策をもたなかったことが、大事故につながったということです。

 政府と東京電力はこの事故が「人災」であることをはっきり認めよ(拍手)、「安全神話」と決別し正直で科学的な原子力行政へと転換せよ、東電は全面賠償の責任を果たせ―このことを強く求めていこうではありませんか。(拍手)

 そして、私はこのメーデーの場で訴えたい。この大事故をふまえ、私は、政府にたいして、原発からの撤退を決断すること、原発をゼロにする期限をきめたプログラムを策定することを強く求めるものです。(拍手)

 全国津々浦々から、「原発からの撤退を決断せよ」「安全最優先の原子力行政への転換を」「自然エネルギーへの転換を」の旗をかかげ、一大国民運動をおこそうではありませんか。(拍手)

国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」を

 第三は、被災者支援・復興の取り組みと一体に、国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」をめざすたたかいをあらゆる分野で発展させることです。

 大震災は、日本の国のあり方、その弱点を根底から明るみにだすものとなりました。「自己責任」の名で、雇用・福祉・病院・防災・地方自治を破壊してきた「構造改革」路線では、国民の命を守れない。日常普段から人間らしい雇用、社会保障の充実、地方自治の発展のためにたたかい、暮らしと権利を守るルール、それを支えるネットワークをつくってこそ、災害にも強い社会となることが明らかにされたのではないでしょうか。そのための国民的運動を、あらゆる分野で大きく発展させることをこのメーデーにあたって誓いあいましょう。(拍手)

 第82回中央メーデー万歳。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)





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