2011年4月19日(火)「しんぶん赤旗」
エジプト
労組結成の権利“承認”
新内閣 最賃制創設、格差是正へ
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【カイロ=伴安弘】エジプトのシャラフ新内閣の下、労働者の権利擁護や低賃金・富の格差の是正などの問題で取り組みが始まっています。ムバラク前政権時代の「官製」ではない、自主的な労働組合もこれを歓迎しています。
「この権利は間もなく承認されることになる」―新政権のラドワン財務相は14日の記者会見で、労働者の権利についてこのように表明しました。
アルボライ人的資源相も同じ会見で、労働者に組合結成の権利が認められると表明。政府が関連する国際労働協定を批准したことを明らかにしました。
記者会見に同席した国際労働機関(ILO)のフアン・ソマビア事務局長は「われわれは新しい制度を樹立しようとしているエジプト人を支援する用意がある」と歓迎を表明しました。
会見ではこのほか、青年の失業率が66%にも上っていること、外国人労働者の割合が法的基準の10%をはるかに超えた30%に達していることも明らかにし、こうした点の改善を約束しました。社会保険に加入していない労働者の問題の解決にも当たると述べました。
さらに政府は「雇用・賃金全国計画」を閣議決定し、賃金に関する制度の確立にも乗り出しています。
11日には7閣僚と、商業会議所総連合をはじめ、観光、建設、工業の各業界組織と自主的な労働組合による会合が開かれました。それを受けて政府は12日、今後3〜6カ月の間で最低賃金制度を確定すると発表しました。
また「全国計画」に基づいて、ILO代表を招き、財務相、労働相、連帯・社会正義相の合同会議を開催。ブラジルやインド、チリ、英国、マレーシアなどの国際的経験を参考に、賃金に関する制度を確立するよう検討を始めました。
ムバラク政権時代の「官製」労働組合とのたたかいのなかでつくられたエジプト独立労働組合連盟は、政府の賃金制度の確立の取り組みを歓迎すると発表しています。