2011年3月30日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 西暦859年から877年の18年間は、元号で貞観(じょうがん)とよばれます。天変地異の続いた時代でした▼貞観6年、富士山が大地震をともなって噴火し、周辺を噴石で埋めました。9年に、阿蘇山も噴火します。そして11(869)年、陸奥の国で大地震が起こり、津波が三陸沿岸を襲いました▼地震とともにあたりが光り、激しい揺れに家も城も崩れ落ちる。雷のような海鳴り。津波は、たちまち城下に達し、陸地を海原に変えた。人々は、舟にも乗れず、山へも逃げられず、おぼれた…。当時の記録を再現してみました▼東京の石原知事が、福島原発の事故について語っています。「マグニチュード9とか10メートルの津波というのは誰も想像しえない、まさに未曽有のこと」。しかし、マグニチュード8・4級の貞観地震を知る専門家は、当時を上回る津波への備えを求めていました▼産業技術総合研究所の岡村行信さんは、東京電力の想定とは比べものにならないほど「非常にでかい」津波がくると警告しました。政府の審議会の席でした。しかし東電は、「歴史上の地震」と片づけ、設計を見直さずじまい。日本共産党の吉井英勝議員や福島県議団の、今の事故を想定した警告にも耳を貸さなかった東電です▼石原知事は、少なくとも“自分は想像できなかった”といい直すべきでしょう。知事は、「今までも訳の分からない連中が原発反対というので、福島に押しかけていって…」とものべています。訳の分かっていなかったのは、どちらでしょう。





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